HOME > 法律コラム > 事前に「心神喪失」を調べていた植松聖容容疑者。どんな状態が心神喪失?
相模原障害者施設殺傷事件の植松聖容疑者が事件が起こる数ヶ月前から「鑑定」や「心神喪失」、「無罪」などをインターネットで調べていたことが9月21日、捜査関係者への取材で分かったという。
報道によると、刑事責任が問われないための条件をしらべていたことから、襲撃には計画性があったのではないかと、捜査本部はみているとのこと。
無差別殺人事件や残虐性の高い事件であった場合に、その容疑者が精神鑑定にかけられることはよく聞くことだが、そもそもどんな状態を心神喪失や心神衰弱というのだろうか。今回はこの点について刑事事件を專門としている荻原邦夫弁護士に話を伺った。
早速であるが心神喪失や心神衰弱がどんな状態かを伺った。
「心神喪失や心神耗弱とは、法律上の概念であり、医学的あるいは客観的に明確に言い換えることができません」(荻原邦夫弁護士)
なんと明確に定義することが難しいという。では誰がどうやって評価をするのだろうか。
「『精神の障害』(生物学的要素)や『弁別能力、制御能力』(心理学的要素)の評価においては、精神医学者等の専門家の意見が尊重されます」(荻原邦夫弁護士)
専門家の意見を参考にはするがそれで決まるわけではないならば、どのように決めるのだろうか。
「最終的には、刑法が心神喪失及び心神耗弱の規定を設けた目的から考えていくしかありません。抽象的に言えば、行為者の行為について、行為者を非難することができるかどうかということになります」(荻原邦夫弁護士)
ではどんな状態が心神喪失や心神衰弱とされる可能性があるのだろうか。
「最終的な判断は、具体的状況における個別具体的判断になりますが、典型的に問題となるのは、精神病及び精神病質、知的障害、中毒性精神障害(アルコールや薬物等)などがあります」(荻原邦夫弁護士)
植松容疑者の精神状態を調べる鑑定留置は9月21日から始まったという。鑑定期間は来年1月23日までの約4カ月間とのこと。