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最大80%も相続税を減らす「小規模宅地等の特例」は二世帯住宅にも有効?

被相続人と同居していた親族が、被相続人が居住の用に供していた宅地を相続して住み続けた場合、原則として小規模宅地の特例の対象になり、80%減額の対象になります。この同居について、従来その判断が難しかったのは二世帯住宅です。

親の土地の上に二世帯住宅を建てて、一階が親世帯、二階が子世帯という二世帯住宅を作ることがありますが、この場合親と子が同居していると言えるのか、問題になります。従来は、建物の内部に階段があるなどして、内部で行き来ができれば同居、などと言っていましたが、判断が難しいこともあって、平成26年の相続からは、二世帯住宅であっても、原則として同居しているとして取り扱われることになりました。このため、小規模宅地の特例が広く使えるようになっています。

区分所有に要注意

ただし、あらゆる二世帯住宅について、同居していると判断できるとされているわけではありません。具体的には、区分所有建物に該当する二世帯住宅については、同居と見られません。

区分所有建物の要件として、以下の二つが挙げられます。

(1)建物の各部分に構造上の独立性があること
建物の各部分が、他の部分と壁等で完全に遮断されていることを意味します。ふすま、障子、間仕切りなど、一般家庭でも見られる遮断では足りないとされています。

(2)建物の各部分に利用上の独立性があること
建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味します。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能であるということを意味すると言われています。

典型例としては、居住用マンションの各部屋をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。居住用マンションは、1棟の建物ですが、各部屋はそれぞれ独立して多数の世帯に貸され、自由に各部屋を行き来することはできません。実際のところ、分譲マンションなどでは、部屋単位で売買されています。

区分所有建物であれば、その部屋ごとが所有権の対象になりますので、二世帯住宅を建築し、一階部分は親(被相続人)の所有物として登記をし、二階部分は子(相続人)の所有物として登記をするような場合には、子は親と同居しているとは見られません。

区分所有建物かどうかは登記で判断できる

区分所有建物かどうか、原則として登記で判断することができますので、国税は当然に判断できますから、ミスがないように申告する必要があります。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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