HOME > 法律コラム > イジメの傍観者は加害者と同等っていうけど、罪に問われる可能性はあるの?
のび太をいじめるジャイアンとそれを眺めるスネ夫。ドラえもんではよく見るシーンだろうが、これは決してアニメの中だけでの話ではない。現実世界においても、いじめには加害者と被害者だけでなく、そこにはいじめが行われていることを認識しておきながら、傍観する者がいる。
さてそんな傍観者に対して、皆さんはどのようにお考えだろうか。一部では「傍観者も加害者と同等」と考える人がいるという。しかし傍観者にも幾つかの種類があり、単純に面白がって見ているだけという人もいれば、止めたいけどその勇気がないという人など様々だ。
そこで今回は傍観者が、直接イジメに加わっていなかったとしても、何かの罪に問われる可能性があるのかどうかを清水陽平弁護士に伺った。
例えば、のび太がジャイアンにいじめられていることを知っている先生や友達、あるいはジャイアンの両親は、何かの罪に問われることはないのだろうか。
「いじめを知っている先生や友達、ジャイアンの両親は、単に『知っている』というだけでは罪に問われません。もっとも、本来注意をすべき先生や両親が何も注意しないことでジャイアンが精神的にいじめをしやすくなっているといった状況があれば、ジャイアンに成立する(ここでは年齢は考慮しないことにします)犯罪の幇助罪に問われる可能性があります」(清水陽平弁護士)
知っているというだけでは罪に問われることはないという。ちなみに前提として、14歳以下であるジャイアンは刑法上の責任が問われることはない。
しかし、もしもそういった前提を無視した場合、条件次第では、傍観者も幇助罪に問われる可能性があるという。
具体的にどのような条件を満たすと、傍観者も罪に問われるのだろうか。
「友達にはジャイアンを注意すべき法的な義務はないですし、注意すれば自分が暴力をふるわれる可能性も高い以上、注意することを期待するのは難しいです。もっとも、暴力をふるっているところを囃し立てたりて、ジャイアンがいじめをしやすい状況を作っていたような場合には、幇助罪に問われる可能性もあります」(清水陽平弁護士)
直接的にいじめに加わらずとも、いじめを助長するような間接的な働きかけを行えば、罪に問われることもありえるという。
いじめは、教師と連携を取って対応するのが良いとされている。しかし告げ口をすれば自分が次なるターゲットにされる可能性もある。そんな時は、自分の名前を明かさないことを条件に、まずは相談してみてはどうだろうか。