法律問題は相談LINEで解決!

HOME > 法律コラム > 第三のビール「極ZERO」は発泡酒として再発売し値上げ!追加納税になった理由とその仕組は?!

このエントリーをはてなブックマークに追加

第三のビール「極ZERO」は発泡酒として再発売し値上げ!追加納税になった理由とその仕組は?!

突然ですが・・・私が自宅で飲んでいるお酒はサッポロビールの「極ZERO」。
以前は、違う「第3のビール」を飲んでいたのですが、健康診断の結果、尿酸値などの数値が悪いことが判明し、糖質ゼロ・プリン体ゼロを打ち出す「極ZERO」に変えました。

しかし・・・です。私が愛飲する「極ZERO」が発売中止になり、そのうえ、再発売する際には「発泡酒」になって、実質値上げするとの報道がありました。ショック・・・。

「極ゼロ」発売中止と値上げの理由

なぜこのようなことになってしまったのでしょうか!?

「極ZERO」酒税率の低い「リキュール(発泡性)(1)」の区分で販売していましたが、国税庁から今年1月に製法の照会があったため、同社も独自に検証を開始。結論次第で「発泡性酒類」のうち最も高い税率区分の製品と認定される恐れもあることから、「自主的に発泡酒に切り替えることを決めた」といいます。

簡単にいえば、「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の順番に安くなるビール類なのですが、その区分が違っており、今後は「第3のビール」に分類しないから、パッケージ等のやり直しを含めて再発売とし、結果として値段が上がるというわけです。

酒税法の規定では、麦芽50%未満の発泡酒に麦などの蒸留酒を加えた製品が「リキュール(発泡性)(1)」に当たり、酒税額は350ミリリットル当たり28円。この規定から外れると、酒税額はビールと同額の同77円が適用されることになります。

「極ZERO」は累計613万ケース(1ケース大瓶20本換算)を販売されているそうで、サッポロビールには、すでに販売した酒税の差額分、116億円!の追加納税が発生しました。

このため、蒸留酒を加えない製法に改め、「発泡酒」として再発売するそうです。「発泡酒(麦芽25%未満)」の税額は同47円で、切り替え後の350ミリリットル缶の想定小売価格は現行の140円前後より20~30円高くなる見通しになっています。

酒税は国税の管轄だったことをご存知ですか?

あまり知られていないことですが、酒税は国税の管轄で、各税務署には法人課税部門に酒税の担当が置かれています。

お酒は発売前に、法律に基づいたものであるかどうかの細かいチェックが国税によってなされるので、今回の騒動のように、発売後にお酒の区分が変わったりすることは、非常に珍しいことといえます。

この騒動で私が自宅で飲むお酒を変えるつもりはありませんが、サッポロビールとしては、売れていた商品がこのようなことになり、また追徴税額の金額も多額なので、手痛い失敗です。

執筆  久保憂希也
1977年 和歌山県和歌山市生まれ
1992年 智弁学園和歌山高校入学
1995年 慶應義塾大学経済学部入学
2001年 国税庁入庁 東京国税局配属
東京国税局管内の税務署で税務調査を担当。
2008年 ㈱InspireConsultingを設立。税務調査のコンサルタントとして活動。
人気のセミナー講師として年間50回以上、セミナーの壇上に立つ。
著書には、「~元国税調査官が斬る~税務調査の真実」「元国税調査官が解説
実例・判決で学ぶ税務調査の深奥」「元国税OBによる税務調査と実務対応」「社長、御社の税金は半分にできる!」
「社長、税務調査の損得は税理士で決まる!」「すべての日本人のための 日本一やさしくて使える税金の本」など、多数。

元国税調査官が斬る 税務調査の真実 [単行本(ソフトカバー)]
元国税調査官が斬る 税務調査の真実 [単行本(ソフトカバー)]
詳しくはこちら