HOME > 法律コラム > 税務調査を受ける場所を本社以外にした場合のデメリットは?注意点は?
税務調査は納税者の協力の下に行われるとされていますので、調査官は納税者に配慮して税務調査を行う必要があります。この観点から認められることの一つに、税務調査の場所があります、
税務調査を実施する場合、原則として調査官はあらかじめ調査の対象期間や税務調査を実施する場所を納税者に通知しなければならないとされています。この場所ですが、調査官は納税地である会社の本店で税務調査を実施するという連絡をすることが通例です。しかし、この連絡の通り、会社の本店で税務調査を受ける必要はありません。
この連絡はあくまでも調査官の希望ですので、例えば会社が手狭のため税理士事務所で税務調査を受けたい旨申し出ればよく、このような申出があれば、原則として調査官はその希望を受け入れてくれます。
このようなルールは常識なのですが、調査官の中には、会社以外の税理士事務所などで税務調査を実施することに同意しているにもかかわらず、税務調査の際に「会社の本店で税務調査をするべき」などと、嫌味をいう輩がいます。調査官としては、本店で税務調査を行ったほうが資料の確認がしやすいといった理由がありますので、できるだけ本店で税務調査をしたいという思いがありますから、このような嫌味を言って圧力をかけるのです。
このような嫌味を言うくらいなら、会社の本店で税務調査を実施する必要性を説明し、納税者を説得すればいいだけですが、このような説得も行わずに嫌味を言うので困ったものです。
このような嫌味が幅を利かすと、税務調査の場所を本店以外にするとまずいのではないか、とお考えになる経営者も多いのですが、単なる嫌味にすぎないので気にすることはありません。むしろ、調査場所を本店以外とすることに調査官は合意しているわけですから、上司などに抗議すべき内容です。
このように、税務調査の場所は会社の本店でなくても全く問題ありませんが、注意点として、調査官と税務調査の実施場所について合意した後になって、その合意した場所を変えることは難しいことを押さえておく必要があります。このような場合には、変更する合理的な理由がない限り、実施場所の変更はできないこととなっています。
どこで税務調査を受けるのが最も都合がいいか、よく考えた上で調査官と交渉してください。
専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。