HOME > 法律コラム > 携帯電話の高額通信料金で困ったら泣き寝入りしか無いの?!損害賠償が認められるケースを考えましょう。
誰もが使っている携帯。
スマホ派、ガラケー派と派閥が分かれても、皆携帯電話であることは揺るがない事実です。
携帯電話、日本市場は飽和していると言われて久しいです。それでも皆一度はショップに出入りしたことがあるのではないでしょうか。
ちなみに、筆者にとって携帯ショップは、通信料金の支払いに行ったり、口座の変更に行ったりと、頻度は高くないにしても日常的に行く場所ではあります。
今回はそんな携帯ショップの店員さんの料金説明に問題があったと主張し、通信料金の損害賠償をめぐる事例ををとりあげてみました。
当時学生であった利用者は従量制のパケット通信方式で携帯電話を利用していました。
そのまま新たな住居に引っ越し、インターネット接続環境がなかったということもあり、携帯電話をモデムとして用いて(データ転送用の装置として使用すること)情報サイトなどを閲覧。その際、楽曲や動画など、大容量のファイルをダウンロードすることもなかったといいます。
しかし、なんとたった一か月で平均5万円以上の通信料がかかっていたのです。
当時利用者は学生だったそうです。
利用者はこの高額な料金は、携帯電話をモデムとして使用したことによるものと推測し、以後はその利用を止めました。
その推測は当たっていたのですが、そのモデムとして使用していた時間は累計でほんの10時間程度でした。
一旦、通信料金の請求金額約20万円を払ったものの、後日事業者がサービスを利用する際の説明義務を怠ったとして損害賠償を請求しました。
結果的に、利用者は損害賠償を請求することが出来ました。
しかし、説明義務違反は否定されました。
では何故訴えが認められたのか、経過とともに振り返ります。
(1)パケット通信料という、目には見えず、ふつう利用者が測り知ることの困難なデータ量で料金が設定されていることは、そもそも利用者にとって不利な状況であるということ。また例外での使用によってはかなり高額になる危険性も含んでいたこと。
(2)利用者にとって高額な料金が発生する場合を説明しなかったことは利用者にとって負担がかかり、リスクも高くなるものである。だが、事業者側は事前にカタログを渡しており、高額な料金が発生する場合も含めて最低限必要な案内はしていた。しかしそれを踏まえても例外での使用により高額の料金が発生した際に利用者に対しアラームを行うなど一切の措置をとらなかったことは、利用者に対し注意喚起すべき義務を怠ったこととして認められた。
(3)今までに、利用者が知らないうちにサービス外の通信を行い、事業者より、予想外の高額な料金を請求されることが一度ならずあった。それらの事例を鑑み、今後利用者の損害を拡大させないためにも今回利用者側の損害賠償の請求を認めることとなった。
少し筆者は驚きましたが、利用者側としてはホッとするような判決です。
この判例には、過去予想外の高額請求に泣き寝入りした人々の影もあっての判決、という側面も感じられるのは私だけでしょうか。また、裁判所が、今後の社会をより良くするための制裁的措置をとった判例のひとつとして数えられるかもしれません。
皆さんも泣き寝入りする前に、まずは相談してみては如何でしょうか。