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コミケで暗躍する転売!「リヴァイの先行発売ねんどろいど」などが多数ネットオークションに出品されている問題について弁護士が解説!



先日開催された世界でもっとも大きな同人誌即売会、コミックマーケット。

開催規模は年々拡大し、入場者数も着実に増え、警備スタッフも危機管理に苦慮するほどです。

しかし残念なことに、このコミケで売られている作品を、ネットオークションを通して転売する人たちが急増しています。

転売とは転売目的で購入した商品を売るという行為を言います。

今回はこのコミケでの転売行為について荻原邦夫弁護士から話を聞いてみました。

古物商の許可を持たずに転売を行うと、どのような罪になるのでしょうか?

コミックマーケットは、お客様はおらず、全員が参加者であり、表現の場として継続することを目指すとされていますが、そのようなコミックマーケットで購入された商品が、ネットオークションで転売されることは珍しくありません。

ネットオークションでの転売は気軽に始められますが、転売行為を反復し、継続して利益を得うる状態であったり、そもそも転売するために購入したりした場合は、それは個人的な不要品の売却ではなく、古物営業といえます。

古物営業を行うには、公安委員会から古物商の許可が得る必要があります。
許可を得ないで古物営業を行うと、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられる場合があります。

作者が転売を禁止しているにも関わらず転売する方もいるようですが、現状取り締まることは難しいのでしょうか?何か対策はあるのでしょうか?

そもそも、作者が購入者に対して転売禁止を主張できるかが問題になります。

原則として、購入した商品については、所有権は購入者に移り、著作権としての譲渡権も及びませんから、購入者はその商品を転売することができます。

作者が転売禁止で販売したい場合、その転売禁止という内容を商品販売の契約内容に含める必要があります。契約内容とするには、そのことを購入者が購入時に了解していなければなりませんから、作者は、販売時に、「この作品は転売禁止です。」と明確に伝えなければなりません。そして、転売禁止を了解してくれない人に対しては、販売を拒否するという対応が必要でしょう。
このような特約が有効か議論はあり得ますが、不当とは言い切れないと考えます。

このようにして転売禁止の特約の下に販売したにもかかわらず、転売された場合は、債務不履行に基づき損害賠償を請求することが可能です。
しかし、転売した購入者を特定することや、損害額を算定することはかなり難しいでしょう。

転売禁止であるにも関わらず、ネットオークションで転売されているのを見つけた場合の対策は何かあるのでしょうか?

転売禁止の作品をネットオークションで見つけた場合は、ネットオークション運営者に対して、転売禁止の作品であることを理由に削除依頼することは考えられます。

しかし、転売禁止は、作者と購入者との契約関係であり、ネットオークション運営者に対して何らかの効力があるわけではありませんし、そもそも転売禁止特約に反して販売されたかの判断は容易ではありません。ネットオークション運営者としては、削除依頼を受けても何ら対応しない可能性が高いでしょう。

転売禁止をネットオークションでも実効性を持たせるためには、ネットオークション運営者を動かして、ネットオークションの規約で、作者が転売禁止を条件に販売した作品の出品は禁止するなどと定めさせることは考えられますが、現状ではネットオークション側には利点はないかもしれません。

転売禁止を根付かせていこうとすれば、例えば、遠回りかもしれませんが、コミックマーケットでの作品は転売禁止が当然であるとの認識を育てていったり、職業的な転売者に関しては、作者同士で協力し、古物営業法違反に該当すれば積極的に告発していくことは考えられるでしょう。

取材協力弁護士 荻原邦夫

第一東京弁護士会所属。東京都中央区日本橋にあるヴィクトワール法律事務所。主に刑事事件での実績多数。また民事を含め、刑事事件になるかもしれないといったお悩みの案件にも対応。相談者に落ち着いていただき、理解していただけるよう対応することを心がけています。

ライター  肩荷生霊 Blog