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覚醒剤取締り法違反で逮捕された有名シンガーから振り返る薬物取締りに関する法律

先月、某有名シンガーが覚醒剤取締り法違反で逮捕された。
驚いた反面、「またか・・・」という思いもある。昔から、この手のニュースはわりとよくある。
大麻所持で逮捕!とか、違法薬物所持で逮捕!などなど。

麻薬と覚醒剤の違いは?

さて、麻薬や覚醒剤、違法薬物などいろいろありますが、では、その違いは?と聞かれると知らないという人も多いのではないだろうか。良く耳にする薬物について少し調べてみた。

大麻とは、大麻草というアサ科の1年草で、その葉を乾燥、樹脂化あるいは液体化したものの総称。麻酔効果と陶酔作用があり、使用することで気分が高揚したり、感情が不安定になる。
諸外国では、約250種類の病気に効果があるとされ、医療用大麻として使用される事があるが、日本ではたとえ医療用であっても使用は禁止されている。

覚醒剤とは、神経を興奮させる作用を持ち、一時的に疲れがとれ、頭が冴える感覚になるが、効力が切れると、強い脱力感、疲労感に襲われる。それを回避する為、使用頻度、使用量が増える事となり依存性が強い事が特徴だといえる。

麻薬というのは、強い幻覚作用と興奮作用をあわせ持ち、依存性が高く、身体的だけではなく精神的にも悪影響を及ぼす薬物全般の総称。広い意味では覚醒剤、大麻なども麻薬に含まれる。
麻薬は天然麻薬と合成麻薬があり、数年前、某俳優が使ったとされるMDMAやエクスタシーなどは合成麻薬に分類される。

これらの薬物に共通する問題点は主に次の2点。
強い依存性があり、薬が切れた時の禁断症状を回避するために使用量、使用回数ともに増えていく。
その薬なしではいられなくなり、いわゆる薬物中毒といった状態に陥る点。
もう1つは、使用する事で情緒不安定になり、脳や神経を破壊し、幻覚や幻聴の症状が現れ日常生活を送る事も難しくなる程、人間の精神を異常な状態に陥る点。

同じ薬物依存にニコチン依存症というのがある。タバコ喫煙者のことだが、未成年の喫煙は法律により禁止されているが、麻薬のように全面禁止というわけではない。

思うに、タバコの場合は麻薬と違い精神異常の状態に陥る事がなく、禁断症状と言ってもせいぜいイライラしたり、怒りっぽくなったりするくらいで、法律で取り締まる程ではないからだと思う。
もちろん、吸い過ぎは体にも良くないが、通常量の喫煙に関しては法には触れない。全く同じ理由でアルコールも通常摂取は法に触れないが、何にせよ、タバコもお酒もほどほどに…。

薬物4法

前述の禁止薬物は、それぞれ、大麻取締法、覚醒剤取締り法、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法、という4つの法律で取締りの対象となっている。いわゆる薬物4法である。
これに加え、シンナーやトルエンなどは、毒物及び劇物取締法で、その他の違法ドラッグに対しては薬事法でそれぞれ規制されている。
罰則に関しては、営利目的で輸出入や製造した場合、所持していた場合、実際に使用した場合などによって罪の重さが分かれている。

脱法ハーブって何!?

最近良く耳にする言葉に脱法ハーブというのがある。これはざっくり言ってしまえば、現状では取り締まる法律がない薬物の総称だといえる。
法律で裁くには、あらかじめその薬物を使用、所持、販売や製造した場合にどれだけの罰則を与えるのかということを決める必要がある。指定された薬物はその法律の取締り対象となるが、脱法ハーブというのは、その指定薬物の成分や化学構造を変えて取締りの対象外にする。また、使用が目的ではなく、あくまで「お香」「芳香剤」などとして売られているものに関しても取締りが出来ない。
「脱法」と聞けば、麻薬や覚醒剤に比べ軽い感じがするが、実は薬による依存性や影響は同じかそれ以上。こういった薬物にも、対策は講じられているものの、法律で指定されればまた新しいものを作る・・・といういたちごっこはまだ続きそうだ。

薬物やめますか?それとも・・・

薬物やめますか?それとも人間やめますか?
この印象的なフレーズで薬物使用禁止のCM が流れていたのを思い出す。
まさに薬物使用を続けると人間をやめるはめに。
初めは興味本位で、多幸感を得てまるで天国にいるような感覚に陥るかもしれないが、その先に待っているのは間違いなく地獄。法律で完全に取締しまる事が出来ない今は薬物に対する正しい知識を持ち、絶対に手を出さないという強固な精神力が必要なのかもしれない。
あなたはやりますか?それとも・・・

ライター  原芽 雨樹