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遠隔地の親族を扶養控除の対象にする場合の注意点を税理士が解説

所得税法上、16歳以上の扶養親族がいる場合には、扶養控除が認められます。扶養親族とは、生計を一にする親族のうち、年の所得金額が38万円以下のものをいいます。ただし、青色事業専従者などについては、この対象にはなりません。

扶養控除の控除額

特定扶養親族(19歳以上23歳未満の人) 63万円
老人扶養親族(70歳以上)のうち、同居していない者 48万円
老人扶養親族(70歳以上)のうち、同居していない者 58万円
通常の扶養親族(上記以外) 38万円

生計を一にするという解釈

扶養親族の要件として、生計を一にするという用語があります。これは、財布を一緒にする、という意味であり、生活費を融通し合うのであれば、原則としてこれに該当することになります。

同居していれば、生活費の財布は原則同じですから、原則として生計を一にするという要件に該当します。しかし、同居をしていなくても、生活費の面倒を見ているのであれば、この要件にあたります。

典型例は、大学生の子供に仕送りする場合の子供でしょう。この子供の生活費は仕送りで賄われますから、原則として親と生計を一にしていると判断できます。

その他、最近増えてきたのは、実家の両親の生活費を子が見ている、というケースです。この場合、子と両親の財布は一つですから、生計を一にしていると原則見られます。

近年は判断が厳しい

このように、同居していなくても生計を一にするという要件に当たる場合がありますが、近年はこの判断が厳しいと言われます。というのも、平成28年から非居住者である親族を扶養控除の対象とする場合、送金関係書類などの資料を提出する義務が設けられているからです。

この送金関係書類については、生活費を必要な都度送金したことを証明する書類とされており、言い換えればまとめて多額のお金を送金するような場合は、これに当たらないと考えられます。

送金関係書類については、上記の生計を一にするという要件に当たるかを確認するための資料です。となれば、生活費を必要な都度親族に送金する、くらいの実態がなければ、本来的には生計を一にするとは言えないという判断がなされる可能性があります。

遠隔地の親族を扶養控除の対象にする場合には、この点注意が必要です。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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