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外れ馬券問題で執拗に食い下がる国税の主張が、如何に姑息かを税理士が解説

外れ馬券が経費になるかどうかで、国税と納税者のトラブルが多発しています。国税は外れ馬券は経費にならないとしていますが、その根拠は馬券の払戻金が原則として一時所得に該当するとされていることにあります。仮に一時所得に該当すれば、外れ馬券は経費になりません。

この例外として、馬券の払戻金が雑所得に該当すれば、外れ馬券は経費になります。

雑所得と一時所得の違い

雑所得になるか一時所得になるかで、外れ馬券の取扱いは大きく変わりますが、その判断基準は非常に難しいです。この判断基準の一つを申しますが、それは一時でないこと、つまり継続性があるかどうかです。継続性があれば、雑所得に該当します。

継続性があるかどうか、それは競馬をどの程度の規模で行っているかなどの観点で見られます。金額基準は一概には言えませんが、過去の事例を見る限り、数億円程度の利益を計上するようなケースについては、一時所得ではなく雑所得とされたものがあります。

姑息な国税

継続性があるかどうかは、いろいろな基準で見る必要がありますが、国税の通達では、「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得」については、雑所得に当たり、それ以外の競馬は一時所得にあたると説明されています。

ここで注目いただきたいのは、本来継続性があるものが雑所得に該当するにもかかわらず、「ソフトウエアを使用して」であるとか、「インターネットを介して長期間にわたり」などとされ、継続性があるかどうかの判断を、機械の使用状況などで見ることにしている点です。

ソフトウエアやインターネットを使わないものの、継続性があったり、多額の利益を上げたりする競馬もあるはずで、この通達の判断には違和感があります。雑所得になる競馬が増えれば国税は税収が下がって困るため、このような柔軟性のない通達を公表していました。

最高裁で否認

先日の最高裁で、ソフトウエアやインターネットの活用がないにもかかわらず、雑所得と認められた事例がありました。

国税も、上記のような常識のない通達を一刻も早く改正してほしいものです。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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