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自宅と事務所を兼用にし社宅家賃として節税対策する際の注意点を解説

中小企業の節税の王道として、社宅の活用があります。社宅に関しては、原則として以下の算式で計算される金額以上の金額の使用料を利用者から徴収すれば税務上問題ないとされています。

社宅家賃の計算方法

(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%+12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))+(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

この算式で計算される金額は、実勢家賃の概ね1~2割と言われていますので、結果として支払家賃の8~9割が法人の経費になります。このため、節税になる訳ですが、このような節税が認められる理由は、この使用料は税務署の職員が住む社宅の賃料に相当するからと言われています。

事業共用はどうなる?

社宅に関してよくある質問として、社宅とした自宅について、生活用スペースと事業用スペースを分けた場合、社宅兼本社として、上記の算式を修正することができるか、という疑問があります。法人を設立して新規開業する場合、自宅兼本社とすることも多いですから、このような疑問が生じます。

この点、所得税の通達においては、公的使用に充てられる部分がある住宅等については、上記により計算した通常の賃貸料の額の70%以上に相当する金額を使用料として収入すれば差し支えないと規定されています。このため、上記の算式の70%として使用料を収入すれば、原則として問題ありません。

面積按分はどうか

ところで、法人が社宅兼本社として利用するのではなく、個人事業主が自宅兼事務所として利用する場合には、支払う家賃を事業用と生活用に面積などの基準によって按分することになっています。このため、法人の社宅兼本社についても、面積按分が可能になるか問題になります。

この点、先の70%という基準の大原則は、「使用の状況を考慮して通常の賃貸料の額(社宅家賃)を定める」というものです。面積按分についても使用の状況を考慮した金額と言えるはずですので、面積按分も問題ないと考えられます。

大前提として

ただし、社宅である以上、法人の事業のためにそれは使われる必要がありますので、社宅を利用する役員などの個人的な趣味が反映されるような物件を社宅とすれば、その処理は認められないと考えられます。なぜなら、それは法人の事業のためとは言えないからです

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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