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相続財産から控除される葬式費用。死亡診断書は葬式費用に含まれる?

相続税は被相続人の相続財産から被相続人の借金を控除した純財産に課税されるため、被相続人の借金などを相続財産から控除する債務控除という制度が設けられています。この債務控除として控除が認められるものの一つに、被相続人の葬式費用があります。

この葬式費用については、往々にしてその範囲が問題になりますが、原則として以下とされています。

葬式費用の定義

1 葬式などに際し、又はこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
2 遺体や遺骨の回送にかかった費用
3 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などの費用)
4 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
5 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用

葬式費用として認められていないもの

一方で、以下の費用は対象にならないと国税の通達において明示されています。

1 香典返しの費用
2 墓石や墓地の買入れ費用や墓地を借りるためにかかった費用
3 初七日や法事などの費用
4 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

死亡診断書作成費用はどうなる?

問題になる葬式費用の範囲について、よく質問を受けるのが死亡診断書の作成費用についてです。死亡診断書は、死亡事由などについての検案について記した診断書です。この診断書は、死亡届を提出する際にも必要になる書類であり、死亡を証明する公的な資料になります。

死亡届の提出時に必要、という意味においては、相続に伴い必要不可欠に発生するものですので、その作成費用は葬式費用と見ても問題ないかとも思われますが、上記④の医学上の特別の処置に要した費用とも読めますので、判断が難しいです。結論から申し上げますと、税務の取扱いとしては、死亡診断書の作成費用は葬式費用として債務控除の対象になるとされています。死亡診断書は医学上の費用ですが、死亡に伴って医師に交付義務があるものですので、特別な処置に要した費用とまでは言えないということだと考えられます。

死体検案書の作成費用はどうなる?

診療中に死亡しなかった場合や、不慮の外因死の場合、死因を検案する必要があり、その際に作成されるのが死体検案書です。この作成費用についても、明確ではありませんが、上記と同様の理屈で葬式費用に含まれると考えられます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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