HOME > 法律コラム > 【建設業必見】建設現場で使用する「足場」を使った節税対策を解説
建設現場で使う足場は、法人税においては原則として減価償却資産として使われます。減価償却資産である以上、その取得価額については耐用年数に応じて償却することになりますが、その耐用年数は3年とされています。
上記の法人税の取扱いは有名ですが、この足場について、減価償却上非常に有利な取扱いが設けられていることは、あまり知られていません。
国税の質疑事例に、「建築用足場として使用されるパイプ、丸太等は、建築現場の規模に応じてその本数が決定することから、一定の単位を設けることは難しいため(何本をもって1単位と判定すべきであるか明確にできない。)、1本ごとに判定して差し支えないものと考えられる。」という記述があります。この記述の通り、足場についてはパイプなど1本ごとに判断ができる訳ですが、この時に大いに役に立つのが少額減価償却資産という判定です。
減価償却資産のうち、その取得価額が10万円未満のもの、10万円以上20万円未満のもの、そして10万円以上30万円未満のものについては、以下のような特例が認められています。
1 取得価額10万円未満 支出段階で全額経費になる
2 取得価額10万円以上20万円未満 支出から3年で均等に経費になる
3 取得価額10万円以上30万円未満のもの 一定の青色申告法人のみ、かつ取得金額の総額が1事業年度当たり300万円までであるが、全額一時の経費になる
この取得価額の判定上、「1単位」ごとにその判断をしますが、足場は先の通り小さい単位で判断が出来ますので、当然ながら1単位あたりの金額も小さくなる傾向があります。このため、一時に経費にできる場合が非常に多いのです。
このような節税効果を踏まえ、実務においては足場レンタルという節税商品が流行っています。先の通り、足場を取得した段階でその全額を経費とし、そしてそのレンタル料は将来にわたり数年でもらうこととすれば、レンタル開始時点において相当の節税効果があります。
法人税は事業年度毎に課税されますので、景気のいい年度においては多額の法人税を納めなければなりません。このような年度について、足場レンタルを使うことで、法人税の節税を図ることも一考の余地があります。
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。