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近年注目されている役員等を被保険者とした法人契約の医療保険を解説

福利厚生の一環で役員などを被保険者にした保険を活用した節税は有名ですが、近年注目されている保険商品の一つに、役員等を被保険者とした法人契約の医療保険があります。この法人契約の医療保険は、原則として支払保険料の全額が損金になるとされています。具体的には、その医療保険を解約しても解約返戻金がないこととされていますので、定期保険と同様に原則として保険料の全額損金算入が認められることとされています。

役員等のメリット

一方で、解約返戻金がないということは、貯蓄性はありませんから、退職金などの積み立てとしては使い勝手が悪いと言われます。事実、この法人契約の医療保険は、退職金ではなく役員の保障として使われることを目的としています。

具体的に申し上げると、この法人契約の医療保険は保険期間を終身とし、払い込み期間を2~10年とした上で、その払込期間が終わった段階で役員や経営者などの個人に名義変更することを目的にしています。名義変更する場合、その変更時の解約返戻金が保険契約の時価になります。このため、その金額のやり取りが必要になりますが、先に見た通り解約返戻金はゼロですので、個人への名義変更が無償でできるという仕組みになっています。

終身契約の原則的な取扱い

ところで、このような保険商品を聞くと、違和感を覚えるのはこの保険商品が終身保険であるということです。保険契約は、定期保険、養老保険、終身保険の3つに区分される訳ですが、終身保険の保険料は、原則として会社の経費にならないとされています。このため、保険期間が終身に及ぶこの商品についても、一見すると経費が認められないとも考えられます。

保険税務と国税の取扱い

この点、生命保険に関する法人税のルールは国税庁が公表する通達によって決められています。この通達の内容を見ると分かりますが、原則的な取扱いが記載されたもので、多種多様な保険商品のすべてにそのまま当てはめるのは実情にそぐわないものも多くあります。

こういうことがありますので、保険商品を設計する側でも国税に問い合わせをし、課税のルールを明確にした上で販売をしているようですから、終身保険と言っても国税とすり合わせをした上で全額経費になるとしているはずです。

実際のところ、法人契約の医療保険は多くの保険会社が販売しているものですから、先に述べた節税策は有効と考えられます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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