HOME > 法律コラム > 障害者控除・未成年者控除の特例と扶養義務者の特例を税理士が解説!
相続税においては、相続人の種類や取得した財の内容によって、一部または全部の税額控除が認められます。実務上、特に多いのは障害者控除と未成年者控除と言われる控除であり、それぞれ一定の相続人が障害者や未成年者であれば、これらの控除を受けることが出来ます。
(1)対象者
1.相続等により財産を取得した時に日本国内に住所がある一定の人
2.相続等により財産を取得した時に障害者である人
3.相続等により財産を取得した人が、法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
(2)控除額
その障害者が満85歳になるまでの年数(※1)×10万円(※2)
(※1)1年未満の期間があるときは切り上げて1年
(※2)特別障害者の場合は1年につき20万円
(1)対象者
1. 相続等により財産を取得した時に日本国内に住所がある一定の人又は住所のない者で一定の要件を満たす人
2. 相続等により財産を取得した時に未成年である人
3. 相続等により財産を取得した人が、法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
(2)控除額
その未成年者が満20歳になるまでの年数(※)×10万円
(※1)1年未満の期間があるときは切り上げて1年
ところで、障害者控除と未成年者控除の対象者の控除額が、これらの者の相続税額を上回る場合、その上回った部分の金額については、他の扶養義務者の相続税額から控除することが出来るという特例があります。
例えば、未成年者である相続人の未成年者控除額が30万円、相続税額が10万円とすれば、差額の20万円についてはその未成年者の扶養義務者の相続税額からこうじょすることができます。
なお、ここでいう扶養義務者ですが、その者の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいうこととされています。
この特例の適用上、扶養義務者である相続税の納税義務者が複数存在することもあります。この場合、どの扶養義務者の相続税から控除するのか問題になりますが、この場合のルールについては、扶養義務者相互の協議により決めるとされています。
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。