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事前確定届出給与の提出期限と申告書の関係について税理士が解説

役員に対する給与については、所定の要件を満たすものだけが経費になるとされていますが、その一つに事前確定届出給与があります。事前確定届出給与とは、税務署に予め支給金額や支給時期を届け出て、その届出の通りに支給した場合に経費として認められるものをいいます。

この事前確定届出給与に関する届出書ですが、原則として株主総会の決議をした日から1月以内に税務署に提出する必要があります。

株主総会の決議とは

株主総会の決議が原則として届出書の提出期限の基準になる訳ですが、役員に関する給与については、毎年会社が行うべき定時株主総会で決議されることが一般的です。この定時株主総会は、役員給与に加えて、原則としてその前年度の決算の承認も行われることになっています。

この決算の承認について、注意したいのは法人税の申告書の提出です。法人税の申告は、株主総会の承認を受けた決算に基づいて行わなければならないと規定されています。このため、決算で承認を受けていない申告書は、問題があることになります。

株主総会の決議日は法人税の申告書の記載事項

このような事情があるため、法人税の申告書には、株主総会の決議日を記載しなければならないことになっています。とはいえ、中小企業の場合、この株主総会の決議日を意識することは基本的にはありません。

と言いますのも、多くの中小企業は親族が役員=株主である同族会社だからです。このような会社については、わざわざ仰々しい株主総会を開くといったことは基本的にはありません。このため、会社が作成するべきという株主総会の議事録に関しても、多くの場合税理士がひな形を使って作成をし、後日株主に内容の確認をしてもらい、承認を得ることがほとんどです。

申告書の記載日も

ここで問題になるのは、内容だけでなく株主総会の決議日も税理士が決め、後日承認を受けて提出することが多いということです。となった場合、会社は株主総会の決議日をあまり意識しないため、事前確定届出給与の届出期限である決議日から一月という期日もほとんど意識しません。こうなると、事前確定届出給与の届出期限を経過してしまい、事前確定届出給与が認められないという悲惨な目にある可能性があります。

税理士がもれなくチェックしていればいいですが、税理士も失念することがありますので、注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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