HOME > 法律コラム > 相続税における土地評価の原則的な考え方を税理士が解説
相続税の土地評価は、評価対象となる土地の面積や形状に影響されますが、その評価方法はまずその土地の地目ごとに決まっています。具体的には、以下の9個の地目ごとに、異なる評価方法で評価することになります。
1 宅地
2 田
3 畑
4 山林
5 原野
6 牧場
7 池沼
8 鉱泉地
9 雑種地
固定資産税の評価明細書などに、土地ごとに地目が書かれてありますので、それとイコールで考える方が多くいますが実際はイコールではない場合があります。と言いますのも、相続税の土地評価における地目は、相続が発生した現況の地目で判断するという現況主義が採用されているからです。
固定資産税の評価明細書などの地目は、相続が発生した時の地目と必ずしもイコールではなく、過去の地目が書かれてあることもありますので、注意が必要です。
次に、税理士もよく間違えることですが、相続税において宅地を評価する単位は、登記される土地の単位(筆)ではなく、宅地を利用する単位(画地)であるということです。ここでいう利用する単位とは、以下のような判断をいいます。
(1) 所有する宅地を自己使用している場合には、居住用で使っているか、事業用かにかかわらず、その全体が1画地の宅地
(2) 所有する宅地の一部について借地権を設定させ、他の部分を自己が使用している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地
(3) 所有する宅地の一部について借地権を設定させ、他の部分を貸家の敷地の用に供している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地
(4) 借地権が設定されている宅地について、貸付先が複数であるときには、同一人に貸し付けられている部分ごとに1画地の宅地
(5) 貸家建付地を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地
(6) 2以上の者から隣接している土地を借りて、これを一体として利用している場合には、その借主の借地権の評価に当たっては、その全体を1画地として評価
(7) 共同ビルの敷地の用に供されている宅地は、その全体を1画地の宅地
ごく簡単に申し上げると、借地権などを設定しており、利用が制限される部分と、自己所有で利用が制限されない部分は別の単位として評価するという考え方があります。登記は直接関係ありませんので、宅地の利用形態をきちんと検討する必要があります。
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。