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「AKBを踊ってみた!」を動画投稿!実はダンスの振付にも著作権がある?!

他人の作った音楽や文章を勝手にネット上に投稿したら、著作権法違反となり、様々な責任を負わされることがあります。

このことはすでに多くの人が知っていることだと思います。それならアイドルのダンスを踊ってビデオに撮り、無断で動画投稿サイトにアップロードしたら、どうなるのかまず、動画に楽曲を無断で使用することが著作権法違反となるため、楽曲使用について責任を負うこととなる。

それではそれ以外に、ダンス自体が問題となるのか。このことについて濱悠吾弁護士に聞いた。

アイドルのダンスが著作物に当たるか

ダンスの振り付けは、小説や音楽と同様に、著作権法で保護される「著作物」に当たります。

「著作物」とは「思想や感情を創作的に表現したもの」であって、単なるアイデアでは「著作物」にあたりませんが、それが形をもって外部に表現されていれば「著作物」になり得ます。ダンスの振り付けは、身体の動きを通して思想・感情を表現するものといえ、著作権法は「舞踏」を著作物の一つとして挙げています。しかし全ての表現が著作物として保護されるわけではありません。ありふれた表現が全て著作物として保護されてしまっては表現活動が過度に制限されてしまいます。そのため、著作権法で保護される「著作物」の要件として「創作的な表現」(創作性)であることが必要とされています。

ダンスの振り付けが著作物に当たるか争われた判例に「Shall weダンス?」事件があります。裁判所は、「ダンスの振り付けが著作物として認められるには、単なる既存ステップの組み合わせにとどまらず、顕著な特徴を有するなどの独創性を備えることが必要」との判断をしました。
アイドルのダンスも、ありふれた動きやステップの組み合わせが大半である場合には、創作性が認められず、著作物に当たらない可能性があります。もっとも創作性の判断は専門的なものになるため、ひとまず著作物に当たるものと考えていた方が無難といえます。

ネット上の動画投稿により負う責任

ネット上に動画投稿する行為は、著作権法で定める「公衆送信」にあたるため、著作権者または著作権者から許諾を受けた者以外の者が行うと、著作権侵害となります。

著作権侵害を行った場合、著作権者から、これにより生じた損害の賠償を請求される可能性があります。また著作権者は、侵害者に対し配信の中止を求めることができます。

さらには、著作権侵害には著作権者からの請求だけでなく刑事罰として、「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金」という罰則も定められています。もっとも、この罰則は著作権者による告訴がなければ罰を科されない親告罪となっており、告訴されなければ刑罰を科されることはありません。

著作権者が動画投稿について黙認しているような場合、著作権者の主張は制限を受けるのか

著作権者が動画投稿について黙認している場合でも、その後の権利主張が制限されることは、基本的にはありません。なぜなら権利者は権利主張をしなければならないという義務はないため、いつでも都合の良い時に権利主張を行うことができるためです。

また、ネット上の動画投稿のように、投稿者を特定することが難しい場合には、権利者が権利主張をしないからといって、許諾を与えていると考えることも難しいといえます。
さらに注意しなければならない点として、権利者は行為者ごとに許諾を与えるのが通常なため、多数人の振付動画の投稿が黙認されている状況でも、全ての人が自由に投稿できるわけではないということです。

取材協力弁護士  濱 悠吾 優和綜合法律事務所
東京弁護士会所属。早稲田大学法学部卒業。中央大学大学院法務研究科修了。某動画共有サイトを運営する企業の法務部でインターネット上の権利侵害対応業務、知的財産業務を担当。

ライター 蒲生映与 ブログ