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医療費控除の対象となるかどうかの判断が難しい出産・入院費用の取扱を解説

確定申告で医療費控除を申告して所得税の還付を受けることは多いですが、実務上医療費控除については、控除が認められる医療費に該当するかどうかが問題になります。建前として、法律や国税の通達では、以下の費用などが該当するとされていますが、実際に該当するかどうかはケースバイケースの判断になります。

医療費控除の対象となる費用

1 医師または歯科医師による診療または治療
2 治療または療養に必要な医薬品の購入
3 病院、診療所など、または助産所へ収容されるための人的役務の提供
4 柔道整復師による施術など
5 保健師、看護師、准看護師による療養上の世話
6 助産師による分べんの介助

今回のコラムでは、皆様の参考になるよう、実務上判断に迷う、出産費用や入院費用などの取扱いについて解説します。

出産費用の取扱い

出産費用は原則として医療費控除の対象になり、妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院費用などが対象になります。なお、この通院費用については、出産の場合公共交通機関を使うことも困難ですので、タクシー代なども問題ないとされています。

その一方で、里帰り出産をすることも多いですが、その里帰りの際に生じる交通費は医療費控除の対象にならないとされています。同様に、出産で家事ができないため家政婦を雇った場合の費用についても、対象にならないとされています。

入院費用の取扱い

言うまでもなく、入院も医療の一環ですので、入院費用は原則として医療費控除の対象になります。入院費用だけでなく、入院に伴って必要になる医療用器具、例えば氷枕などについても、その対象になるとされています。

一方で、入院に関係するとしても、入院時に使う寝巻など身の回り品は対象にならないとされています。これに関連し、医療と直接関係ない病室のテレビのレンタル料も該当しません。

その他、通常必要になる入院費用だけが医療費控除の対象ですので、いわゆる差額ベッド代は対象外です。

通院費用の注意点

ところで、通院費用に関して誤解が多い取扱いがありますので紹介します。電車やバスなどで通院した費用は原則として医療費控除の対象になりますが、その反面自分がマイカーを運転して通院した場合のガソリン代は、この対象にはなりません。なぜなら、病院や診療所へ収容されるための人的役務の提供の対価に限り対象になるとされているからです。

同じ通院費用でも、取扱いが異なりますので注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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