HOME > 法律コラム > Youtuberの収入に対する消費税がどのように扱われるか税理士が解説
近年、Youtuberという職業が注目されています、彼らはYoutubeに興味を引く動画を多数アップロードすることで、広告収入を得ています。具体的には、そのアップロードした動画に多数のアクセスが集まれば、その動画に広告を載せたいという企業のニーズが生じますので、その広告に掲載した広告主のリンクをクリックされたり、動画内で広告が再生されたりすることで報酬を得ることができます。
ここで問題になることの一つに、Youtuberの消費税があります。
平成27年度税制改正により、電気通信利用役務の提供に係る取扱いが変更になりました。電気通信利用役務の提供とは、kindle本をダウンロードしたり、アプリをweb経由でダウンロードしたりする取引を言います。このような取引については、従来とは異なり、役務の提供をした事業者ではなく、役務の提供を「受けた」者が国内にいる場合に消費税の対象になります。
消費税は日本の税金ですので、国内で行われた取引についてのみ課税されますが、その判断は、電気通信利用役務の提供については、受け手側で判断することになるのです。インターネットを経由しないサービスについては、役務の提供を行う側で判断しますので、インターネットを経由するかどうかで判断が180度変わることになります。
ここで押さえておくべきことは、インターネットを通じた広告についても、原則としてこの電気通信利用役務の提供に該当するということです。その典型例はいわゆるリスティング広告で、グーグルなど海外の会社が提供するリスティング広告を、日本の企業が活用した場合、原則として日本の消費税の対象になります。
このため、上記Youtuberの消費税についても、同様の取扱いになり、Youtuberが日本人又は日本の法人であったとしても、広告の依頼主が外国人又は外国の法人であれば、原則として消費税の対象にはなりません。
なお、詳細は割愛しますが、日本の消費税の対象になる場合、リバースチャージという特殊な計算が必要になる場合もありますので、専門家にお尋ねください。
この取扱いですが、税理士でもかなり混乱します。国内でYoutubeの動画を作っている以上は、国内の取引であるため日本の消費税の対象になると考えてしまいがちです。
結果として、誤った指導をしてしまっている場合もありますから、再度申告書の内容を見直すこととしましょう。
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。