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固定資産は原則として減価償却。じゃあ美術品や宝石はどうなる?

車や機械に代表される固定資産は、その支出額の全額を一度に経費にするのではなく、耐用年数というその固定資産を使用できる年数に応じて少しずつ経費にすることになります。このような処理が行われるのは、固定資産の価値は使用に応じて減っていくため、その実態に経費を合わせるべきだからです。

減価償却をしない固定資産の代表が「美術品」

こういった手続きを減価償却と言いますが、固定資産であっても、この減価償却をしない資産があります。その代表例として、所定の美術品があります。ゴッホなどの絵画を考えていただければわかる通り、ゴッホなどの絵画は年月が経っても価値は全く落ちません。価値が落ちないなら、そもそも減価償却をする必要はないとされ、結果として、所定の美術品などに該当すると、それを売ったり廃棄したりしない限り、購入金額は経費になりません。となると、大きなデメリットがあります。

「美術品」の範囲

このため、法人が購入した固定資産が、減価償却の対象にならない資産(「非減価償却資産」といいます)である美術品などに当たるかどうかをきちんと調べなければなりません。法人税の通達では、この点以下の1と2の美術品などは、価値が減少しないため、非減価償却資産に該当するとされています。

1 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
2 上記1以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除きます。)

従来はこの判断がかなり複雑でしたが、現状は100万円以上というのが一つの判断基準になっています。

宝石はどうなるか?

1は別にして、上記2の「時の経過によりその価値が減少することが明らか」な資産であるかどうかが実務では問題になります。以前、相談を受けた事例ですが、装飾用などの宝石がこれにあたるかどうかが問題になりました。

結婚式などで宝石を貸し出すことも多いですが、貸す業者とすれば、価値は減少するという考えがあります。しかしながら、国税の内規を検討すると、宝石については時の経過により価値は減少しないと考えているようです。

このため、宝石は減価償却できないと考えられますので、それを踏まえた設備投資計画が必要になります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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