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中古資産を取得した時の注意事項と耐用年数について税理士が解説

税務上、固定資産については、それを使える年数(法定耐用年数)に応じて少しずつ経費とする減価償却という処理が行われます。この法定耐用年数は、資産の種類などに応じて法律で決まっていますが、それは新品の固定資産を前提に定められています。このため、中古の固定資産を購入した場合、法定耐用年数ほど使える期間が長くはありませんので、その年数で減価償却することなく、取得後の使用可能年数として見積もられる年数で償却することができます。

とは言え、見積もられる年数といっても具体的には分かりませんから、以下の簡便法で耐用年数を計算するのが実務では原則です。

簡便法とは

この簡便法とは、以下の算式で耐用年数を計算する方法を言います。

1 法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20%に相当する年数
2 法定耐用年数の一部を経過した資産
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%に相当する年数

なお、1年未満の端数があれば、その端数を切り捨て、2年未満と計算される場合であっても、耐用年数は最低2年とされます。

その他、中古資産を事業の用に供するために、中古資産の取得価額の50%超の改造費などの資本的支出をした場合には、簡便法を使うことはできません。

簡便法は当初申告で使う必要がある

この簡便法ですが、法律上は計算することができるという規定になっていますので、実際の計算をこの方法でやる必要はありません。合理的に見積もれるのであれば、その合理的に見積もった年数で減価償却をすることができます。

しかし、注意したいのは、簡便法を使う場合には、中古資産を取得した時から簡便法で計算する必要があるため、取得した年度で使わなければ、今後簡便法の年数を使うことはできないことになります。このため、中古資産を取得した年度は要注意であり、後日簡便法を使うのを失念し、計算間違えたから税金返してほしい、などと国税に言っても返ってくることはまずありません。

修正申告も同様

このような取扱いは、修正申告の場合も同様です。修正申告前の当初の申告で、簡便法を使っていなければ、修正申告において簡便法を適用すると申告しても、適用を受けることはできないと考えられます。

簡便法の適用に関してもいろいろと面倒なことがありますから、きちんと税理士に相談するべきでしょう。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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