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退職後に支給される給与の源泉徴収額について税理士が解説

会社を退職する場合には、退職金が支給される場合が多いです。この退職金に対しては、その支給を受ける際、源泉徴収されることになります。この源泉徴収税額は、以下の区分に応じ、それぞれに定める金額となっています。

退職金に対する源泉徴収額の規定

1 退職所得の受給に関する申告書を提出している場合
(退職金-退職所得控除額)×1/2×(退職所得の金額に応じ、退職所得の源泉徴収税額の速算表に当てはめて計算した金額)

2 退職所得の需給に関する申告書を提出していない場合
退職金×20.42%

2の場合は別にして、1の場合は確定申告における退職所得の計算方法と同じですので、退職金を一か所からもらう場合などは、原則として退職所得について確定申告は不要になります。

退職後に支給される給与

ところで、当月分の給与を翌月に支払う場合など、退職した後に給与をもらう場合があります。このような給与については、退職金として扱うことはできず、あくまでも給与として扱われます。というのも、退職金は退職したことにより一時にもらう給与とされているからです。退職後に支払われるこのような給与は、退職せずとも支払われるものですので、退職金の定義に当てはまりません。

ここで問題になるのは、給与の源泉徴収義務です。給与として支払う以上、源泉徴収義務が発生しますが、いくら税金を取るのか疑義があります。

給与の源泉徴収

給与の源泉徴収は、会社に扶養控除等申告書を提出しているかにより変わり、提出していれば甲欄という低い税額で、提出していなければ乙欄という高い金額の徴収税額が必要になります。退職すると、会社に出している扶養控除等申告書の効力がなくなる、という見方もあるようです。というのも、二か所から給与をもらう場合などに見られますが、扶養控除等申告書はいずれか一の雇用主にしか出すことができないとされているからです。

新規就職先に出すまではOK

この点、税務雑誌などを見ますと、新規就職先に扶養控除等申告書を提出するまでは、退職前の職場に出した扶養控除等申告書が有効であるとして、甲欄の税額で源泉徴収ができるようです。このため、新規就職先に扶養控除等申告書を提出しているか、確認が必要になります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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