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ふるさと納税の限度額の計算方法や注意点を税理士が解説

よく質問を受けることでもありますが、税務メリットの大きいふるさと納税について、限度額があるかどうかが問題になります。この点、ふるさと納税はその計算上、一定の金額を超えると、それ以上はメリットがないと言われます。この金額は、原則として納めるべき住民税の所得割の20%と言われます。

控除額は3階建て

原則として、ふるさと納税の限度額が住民税の所得割の20%と言われるのは、ふるさと納税の控除額が、所得税、住民税、そして住民税の特例額の3つからなるからです。具体的に見ると、ふるさと納税した金額は、原則として所得税の計算上、以下だけ控除されます。なお、復興所得税は考慮しません。

1 所得税

(ふるさと納税した金額-2,000円)×所得税率

次に、住民税については、以下の金額が控除されます。

2 住民税


(ふるさと納税した金額-2,000円)×10%

ここでいう10%は、個人住民税の所得割の税率です。

最後に、住民税の特例額として、以下の金額も住民税から控除されます。

3 住民税の特例額

(ふるさと納税した金額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)

ご覧いただくと分かる通り、所得税と住民税で引いていない分を、特例額として控除することが認められています。

住民税の特例額には制限がある

ここで注意しなければならないのは、住民税の特例額の控除額は、住民税の所得割の20%までとされている点です。住民税の所得割の20%までであれば、上記の3階建ての構造からすれば、足切りの2000円を引いた金額の全額を控除できるものの、それを超えてしまうと特例額が使えませんので、全額控除することができないことになります。

この点を踏まえ、原則として所得割の20%がふるさと納税の限度額と言われているのです。

所得税には累進課税がある

こういう訳で、おおむね所得割の20%が限度額と考えておけばいいですが、一点注意したいのは、所得税は累進課税で課税されるということです。所得が大きくなればなるほど、住民税の特例額の計算上控除される所得税率は大きくなりますので、限度額がある住民税の特例額も小さく計算されます。

詳細は割愛しますが、累進課税の影響を踏まえると、所得税率が40%を超える場合、住民税の所得割の40%くらいまでが限度額になる可能性が出てきます。この点、計算が複雑ですので、詳細は、税理士か自治体にお尋ねください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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