HOME > 法律コラム > 低賃金・長時間労働が常習化するNPOはブラックなのか?
NPO活動に従事する方の給料は、無給または有給であっても低い水準です。
産業構造審議会(経済産業省)が平成14年5月に発表した資料によると有給スタッフは非常勤で100万円前後、常勤スタッフで250万円です。
NPOとは一般的に「非営利かつ公益の民間組織」と定義されていますが、低賃金となると継続的な活動が難しいという側面もでてきます。
今回はこの問題について加塚裕師弁護士に話を聞いてみました。
一般の民間企業であろうが、NPOであろうが、労働者を雇用契約に基づき雇用している場合には、当然に労働基準法の適用があり、労働者を法定労働時間を超えて労働させれば時間外手当の支払義務を免れることはできません。
よって、NPOであってもいわゆるサービス残業は許されません。
勤務時間外すなわち法定労働時間を超えた労働時間の就労を「ボランティア」としている場合、それが単なる名目であれば、やはり時間外手当の支払義務は免れないと考えます。
この点、時間外手当の支払義務の対象となる労働時間とは、労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができるか否かにより客観的に判断されるものとされています。
したがって、名目がボランティアであっても、事実上就労が使用者から義務づけられており、使用者の指揮命令下におかれているような場合には、時間外手当の支払義務が発生することになります。
他方で、時間外の労働について、労働者に諾否の自由があり、使用者から就労を義務づけられているとはいえないような場合は、時間外手当の支払義務の生ずる労働時間には該当しないと思われます。
上記にて述べたとおり、一般の民間企業であれNPOであれ、労働者を雇用している場合に労働基準法が適用されることについては何ら差異はありません。
したがって、NPOだからといって特別視する必要はなく、労働者としての当然の権利として請求すればよいと思います。