法律問題は相談LINEで解決!

HOME > 法律コラム > 財布や自転車の盗難、空き巣など。犯人が捕まった場合、正直どれだけ戻ってくるの?

このエントリーをはてなブックマークに追加

財布や自転車の盗難、空き巣など。犯人が捕まった場合、正直どれだけ戻ってくるの?

財布やバッグ、貴重品を盗まれ、その後犯人が捕まった場合、どれくらいの被害額が戻ってくるかご存知でしょうか?
犯人が捕まった時点で、盗難品がその犯人の手元になければ戻ってこないことはある程度想像できるかもしれませんが、もしもそうなったら泣き寝入りしか無いのでしょうか?なんとか取り戻す方法はないのでしょうか?
川原俊明弁護士に話を聞いてみました。

窃盗はそもそもどんな罰を受けるのでしょうか?

窃盗犯は、刑事事件として窃盗罪(刑法235条 10年以下の懲役または50万円以下の罰金)に処せられます。しかし、それだけではありません。刑事罰とは別に、民事的にも、不法行為に基づく損害賠償義務(民法709条)があります。従って、被害者は加害者である窃盗犯に、損害賠償を請求することができます。

犯人の手元に盗難品が残っていれば、問題なく戻ってくるのでしょうか?

窃盗にあった被害品が、そのまま、窃盗犯の手元に残っていれば、当然のことながら、被害者は所有権に基づき、被害品そのものの回復を求めることができます。

盗難品を売却されていた場合はどうでしょうか?

問題は「何を請求できるか」また「どれだけ請求できるか」です。

被害品が、高級時計や、宝石類など貴金属などの場合、窃盗犯は、「金目当て」が多いので質屋に質入れしたり、古物商で売却して換金することが予測されます。
一般的に、動産の所有権は取引行為により善意無過失の第三者に転売すると、「善意取得」(民法192条)として第三者に所有権が移転してしまいます。
しかし、盗品の場合、例外的に救済規程が設けられています。被害者は、盗難にあってから2年間は、占有者に返還請求できるのです(民法193条)。
ただし、その占有者が、競売や同種のものの販売業者から善意で(盗品であることを知らないで)買っていた場合は、その購入代金を支払わなければ返してもらえません。
とはいえ、占有者が質屋ないし古物商のばあいは、被害にあってから一年以内であれば無償で返還請求できます(古物営業法・質屋営業法)。
その道のプロは、リスクを負いなさい、ということでしょう。この法律がないと、質屋や古物商が安易に盗品を仕入れることになり、犯罪を助長することにもつながります。

盗難品が破棄などによってなくなった場合はどうでしょうか?

実際に被害品が破棄も含め、なくなってしまった場合ですが、新品ないし同等品を返せ、という権利があるでしょうか。
残念ながら、それは無理。
民法の不法行為に基づく損害賠償の考え方は、実損害の金銭補填。つまり、長年使い古した時計でも、残存評価額しか賠償請求の対象になりません。いくら思い出が詰まっていても、金銭評価してもらえないところがつらいところです。交通事故で、車を大破されても、新車が戻ってこない論理と同じです。

1番痛いところは、窃盗犯である加害者が、資力に乏しく被害弁償能力がない場合です。もともと他人の物を盗む動機は、往々にして生活に行き詰まっている場合が多いです。この観点から「泣き寝入り」せざるを得ないことが多い、とされています。
要は、窃盗被害に遭わないように防犯カメラ設置で警戒、賠償保険の加入で万一の被害回復、が予防策といったところでしょうか。

取材協力弁護士  川原俊明 事務所HP Blog
大阪弁護士会所属。弁護士法人川原総合法律事務所代表。民事・刑事共に多様な分野を幅広くこなす弁護士として、某女優不倫訴訟事件や明石大橋遊歩道設置工事請負代金請求事件、恐喝被告人の刑事無罪判決獲得事件、医療過誤訴訟勝訴事件を担当。また多数のテレビや雑誌などのメディアからの取材実績あり。現在は更に知的財産権やIT情報関連にも取り組み成果をあげています。