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コンテナリースの節税に厳しい対応をするようになってきた国税とその影響

年々厳しくなる節税ですが、最近また厳しい対応がなされるようになったと聞くのがコンテナリースです。文字通り、コンテナをリースすることで節税をするものですが、この仕組みはコンテナについて、法人税において器具備品として取り扱われることを利用したものです。

器具備品は、耐用年数が短いのが通例です。コンテナの場合、大型コンテナは7年の耐用年数ですが、実際の使用期間としては14~15年と言われます。これに加え、中古であればもっと短い耐用年数となりますから、短期間で大きな償却費を計上でき、節税できることになる訳です。

コンテナは「建物」?

このコンテナリースに対し、国税が厳しい処分をしていることが、先日とある税務雑誌でニュースになりました。具体的には、一定のコンテナは建物になると国税が指導し、課税処分をしているようです。建物は器具備品に比して、はるかに耐用年数が長いため、上記のような節税メリットをとることができません。

コンテナが建物になる国税の理屈としては、倉庫のような土地に定着するコンテナは建物と同じ、というものです。この点、倉庫などとして継続的に使用し随時かつ任意に移動できないものについては,建築物として建築確認申請が必要などと国土交通省も注意喚起していますので、国税の理屈が独善的という訳ではありません。詳細、こちらをご参照ください。

建築確認申請が必要とされるようなコンテナについては、建物としてコンテナリースの節税スキームが否認される可能性が大きいため、注意が必要です。

業者にも影響がある

この点、顧客にコンテナを販売し,それを借り上げる形でトランクルーム事業等を運営しているエリアリンクという会社が、「特別損失の計上による業績予想の修正(PDF)」を発表しています。これによると、同社の顧客について、国税から建物と指導される事例があり、結果として顧客から買い取りを依頼される可能性があるため、約50億円の買戻損失引当金繰入額を計上するということです。

個人はだめ

このような事情を受け、国税はコンテナリースに対し、ますます厳しい対応をするでしょう。特に注意したいのは個人の富裕層です。足場レンタルと同様、それが建物扱いされなくとも、基本的には個人の所得税の節税は難しいと考えられます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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