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新型コロナウィルスで税務調査中の案件はどうなる?確定申告延長の影響は?

周知の通り、新型コロナウィルスの問題で、確定申告期限が令和2年3月16日からひと月延長されています。人が密集する確定申告会場においては、感染のリスクがあることからやむを得ない措置と考えられますが、これに関連して今後の税務調査がどうなるか、疑問があります。

延期等の取扱い

この点、税務通信という税務の専門雑誌によると、以下の指摘がありました。

1 延長された期間内は新規の調査に着手しない

確定申告期限が延長された4月16日までは、所得税や資産税、そして税理士が関与する法人税の税務調査に着手しないということです。確定申告期限においては、国税職員や税理士が忙しいため、従来から原則として税務調査を差し控えていました。このため、これと同様の取扱いとなっています。

2 継続中の案件は要相談

税務調査が現状も継続している案件については、納税者と相談しながら、負担にならないよう慎重に進めていくようです。近年の税務調査は長引くことが多く、国税職員や税理士が動けない確定申告期限を迎えても税務調査が終わらない、といった困った事態が多く生じています。このような仕掛中の調査は終える必要がありますので、慎重に進めていくという話のようです。

延長が中止になることも多い気が

とはいえ、この時期に延期し、かつ新型コロナウィルスの終息が見込めない現状においては、延期とは言え6月より先にしか調査ができないと見込めます。税務署の年度は6月までですから、となると税務署の新年度での調査ということになり、結果として新しい担当者が調査をするかどうかを判断することになります。いわゆる、仕切り直しという形になりますので、結果として延期ということではなく、中止になることも多いように思います。

実際のところ、甚大な被害をもたらした東日本大震災の税務調査も、原則として延期となり、そのまま調査が行われなかったというケースも多かったように思います。

注意点として

いずれにしても、国税も新型コロナウィルスの影響で調査を差し控えようという空気ですから、仮に予定されている調査が延期になったとしても、あまり深く考える必要はありません。国税が延期、などというと、何か問題があるとお考えになる方も多いですが、このような事情なので下手に勘繰る必要はありません。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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