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消費税の二つの経理方法「税抜経理と税込経理」 それぞれの特徴や注意点を解説

会社の取引について課税される消費税について、その経理方法は税抜経理と税込経理の二つがあります。前者は消費税と本体価格に分けて取引を経理する方法であり、後者は消費税込みで一括して取引を経理し、ます。例えば、現金110円で商品を売り上げた場合、以下のように経理されます。

現金110円で商品を売り上げた場合のそれぞれの経理

【税抜経理】

(1) 売上時
現金   110 /   売上    100
         /   仮受消費税  10 

(2) 消費税の申告時
仮受消費税 10 /   未払消費税  10

【税込経理】

(1) 売上時
現金   110 /   売上    110

(2) 消費税の申告時
租税公課  10 /   未払消費税  10

それぞれの特徴

税抜経理の場合、売上などの取引金額は税抜金額で経理されますが、申告納税する消費税は会社の経費とは見られません。一方で、税込経理の場合、取引金額は税込金額で経理されますが、申告納税する消費税が会社の経費とされます。このため、原則としてどちらの経理方法をとっても、会社の利益は変わりません(上記の場合、利益は100)。

実務では、税抜経理を選択することが多い印象があります。税込経理は簡易な方法ですが、会社の売上や仕入などの取引金額は、国に納めなければならない消費税を考慮せずに判断するのが正確で、理論的には正しいと考えられるからです。

税務上の取扱い

会社の利益が変わらないため、法人税の処理としては、税抜経理と税込経理のどちらを選ぶかは原則として任意になっています。ただし、選択した経理方法は継続する必要がありますので、原則として変更はできません。

反面、消費税が免除される免税事業者については、税抜経理は認められず、税込経理を行う必要があります。免税事業者は消費税の納税も還付もないので、取引に際して課税される消費税もない、という考え方と思われます。

過去の申告を修正する時に違いがある

税抜経理と税込経理で違いが生じるのは、税務調査などで消費税を追徴され、過去の申告を修正するような場合です。この場合、消費税の修正申告を提出するなどして追加の消費税を納めるとともに、その納税に伴って法人税の申告においても修正が必要になります。

その法人税の修正ですが、税抜経理は申告を間違えた過去の年分で修正をし、税込経理は消費税の修正申告を提出するなどした、当期で修正をします。具体的には、仮に3年前の消費税の申告を間違っていれば、税抜経理は3年前の事業年度の法人税を修正し、税込経理は消費税の修正申告を提出した当期の法人税の申告に、修正を反映させます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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