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金還付スキームは建物の引き渡しのタイミングで還付を受けることが重要

不動産投資においては、建物という高額な資産を購入するため、その建物に係る消費税の還付を受けることが理論上は可能です。しかし、安易な還付を認めたくない国税の意向により、度重なる税制改正を通じて、居住用物件を購入しても、原則として消費税の還付を受けることができないことになっています。

この仕組みですが、抜け道があり、それがいわゆる金取引を繰り返すことです。仕組みは複雑ですので詳細は割愛しますが、金取引を通じて消費税を還付することから、金還付スキームなどと言われています。

期限は原則3月まで

この金還付スキームですが、令和2年度の税制改正で否認されることになりました。期限は、令和2年3月中に契約したものか、令和2年9月までに引渡しを受けた建物に限られます。それまでであれば有効ですので、できることなら令和2年3月中に契約することとしましょう。

否認されたニュースがある

ところで、このように言っておきながら、実は金還付スキームが否認されたというニュースがあります。これだけ聞けば金還付スキームは危険、と思われるでしょうが、この事件では、金還付スキームの仕組みが否認された訳ではありません。金取引を行うことは問題ないが、還付を受けるタイミングが違うため、否認されたのです。

具体的に申し上げますと、建物の消費税は、建物の引渡しを受けたタイミングで還付の対象になることが原則です。ただし、国税の内部的なルールである通達で、建物の売買契約を結んだタイミングで還付の対象とすることができる、と書かれてあります。否認されたニュースは、後者の契約日基準を使ったものなのです。

契約日基準を使っていいとされているのに、何故国税が否認をしたのか疑問が多いと思いますが、通達のルールの趣旨は、引渡しのタイミングが分かりづらいような場合に、契約日基準を使ってもいい、というものなのです。建物の引渡しのタイミングは明確なので、このルールは使ってはいけない。このような判断なのです。

このような国税の理屈は屁理屈で、大きな問題がありますが、金還付スキームでは多額の消費税が還付されますので、当然に慎重に行う必要があります。結果として、金還付スキームを行う際は、建物の引渡しのタイミングで還付を受けることを心がけましょう。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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