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個人の節税対策としては問題あるが法人には効果が期待できる足場レンタル

有効な節税として知られている足場レンタルは、前回も申しましたが個人が自分の所得税を節税するために投資するのは問題があります。一方で、法人が法人税を削減するために投資を行うのは原則として問題なく、節税効果があります。

しかし、とある保守的な税理士によると、法人で足場レンタルを行うことも、個人と同様にリスクがあるということです。

足場レンタルの仕組みを見ると

足場レンタルが節税になるのは、足場の取得価額を本数でカウントできるからです。一個当たり10万円未満の固定資産は、消耗品として一括で経費にできるというルールがあります。このルールにより、例えば10万円未満のパソコンは、数年間使えても一度に経費にできます。

足場については、この判断が足場1本ごとにできるのです。1本10万円を超える足場はほとんどないので、結果として一括で経費にできて節税になるのです。

現場ごとに判断するのか

先の保守的な税理士は、このルールについて、問題があるとしています。具体的には、足場は工事現場などで使うため、その現場ごとに10万円の基準を判断すべき、というのです。

例えば、1本5万円の足場を、とある工事現場で100本使えば、500万円が基準になるため10万円を超えることになります。先の保守的な税理士は、このような判断で節税を国税が否認するのではないか、と解説していました。

足場は工具

しかしながら、この解説は正しくないと考えられます。と言いますのも、足場は法人税においては「工具」とされているからです。工具だからこそ、一つひとつの金額で10万円という基準を判断するのが大原則なのです。

工事現場で判断する、ということは、工具ではなく、足場を使った工事を問題にします。このような工事の場合、法人税の区分は「構築物」になることが原則ですから、その取扱いと矛盾することになります。

法人税の節税は原則問題ないはず

所得税の場合、規模が小さい副業などのビジネスについては、その損を相殺することができないという特別な取扱いがありますので、足場レンタルの節税が否認されます。一方で、法人税についてはこのような取扱いはありませんから、節税は可能と考えられます。

このあたり、法律をよく調べずに問題がある、といった解説をする方もいますので、慎重に対応する必要があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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