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クラウドファンディングの寄付型と購入型のそれぞれの税務を解説

近年、個人や法人の資金調達手段として一般的になってきたことの一つに、クラウドファンディングがあります。このクラウドファンディングは、大きく投資型と非投資型に分かれ、非投資型は寄附型と購入型に大きく分かれます。

寄附型は一定のプロジェクトに対し、寄附を募るというクラウドファンディングで、購入型は支援者にモノやサービスをリターンとして与えるクラウドファンディングです。

以下では、よく使われる非投資型について、寄附型と購入型に分け、その課税関係を見ていきたいと思います。

寄附型の原則は課税

寄附型のクラウドファンディングの大原則は、その調達者が法人であっても個人であっても、調達した資金について、課税されるということです。ただし、法人と個人とで課税される税金が異なりますので、以下法人と個人で分けて解説します。

まず法人について。法人の資金調達というと、株式の発行などをイメージしますが、これらについては原則調達した側では法人税の対象になりません。株式の発行などの「増資」は、法人税においては課税対象にならない「資本等取引」に該当するからです。この資本等取引は、事業の元手には課税しないという考え方から来ています。

一方で、寄附型のクラウドファンディングは、資本等取引に該当せず、通常の金銭の譲受けとして整理されます。このため、法人が調達した資金は法人税が課税されます。

次に、個人については、支援者が個人か法人かで課税される税金が変わります。寄附ということは見方を変えれば贈与ですが、個人間の贈与については贈与税が課税されます。一方で、贈与税は個人間の贈与にしか課税されず、法人が個人に財産を贈与した場合、その贈与を受けた個人については一時所得という所得に区分され、所得税の対象になります。

購入型も課税が原則

次に、購入型ですが、支援者にモノやサービスを渡す、というところからも分かる通り、通常の商品販売などと同じように課税されます。このため、法人が資金調達した場合には法人税の対象になり、個人の場合には事業所得や雑所得として所得税が課税されます。

商品販売と同じような課税ですので、リターンで交付するモノやサービスの原価や販管費は経費として控除することもできます。一方で、消費税の対象になる場合もありますので注意が必要です。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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