HOME > 法律コラム > 7月14日から受付開始した家賃支援給付金の取扱いを税理士が解説
新型コロナウイルスの感染拡大により、営業の自粛等による売上の著しい減少のため、固定費である家賃の負担が大きな問題になっていました。この点を踏まえ、7月の中旬より、2020年7月14日から2021年1月15日までを申請の期限とした上で、地代・家賃の負担を軽減するための「家賃支援給付金」が交付されることになりました。以下では、この家賃支援給付金について、概要を解説します。
家賃支援給付金は申請により給付されることになりますが、対象になる事業者は以下のすべての要件を満たす者とされています。
(1)資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者であること
(2)5月~12月の売上高について、1か月の前年同月比50%以上減少していること、または連続する3か月の合計で前年同期比30%以上減少していること
(3)自己が事業のために使っている土地・建物の賃料を支払っていること
上記の条件を満たしているかの確認として、申請書には本人確認書類に加え、確定申告書や売上台帳などの書類(上記2)や賃貸借契約書や一定の賃料支払い実績を証明する書類(上記3)についても、提出する必要があるとされています。
家賃支援給付金の給付額は、次の算式で計算される金額の6倍(6月分)を原則としつつ、法人が最大600万円、個人事業主が最大300万円とされます。
・ 法人
イ 支払賃料の月額が75万円以下 支払賃料の月額×2/3
ロ 支払賃料の月額が75万円超 50万円+(支払賃料の月額‐75万円)×1/3
ただし、ロの金額は100万円が上限とされます。
・個人事業主
イ 支払賃料の月額が37.5万円以下 支払賃料の月額×2/3
ロ 支払賃料の月額が37.5万円超 25万円+(支払賃料の月額‐37.5万円)×1/3
ただし、ロの金額は50万円が上限とされます。
なお、上記の「支払賃料の月額」は、申請時の直近1か月の支払賃料月額を意味するとされています。
その他の注意点として、給付金の申請書には、誓約書が必要になり、その誓約書には代表者の自署が必要であることも押さえておく必要があります。記名でも問題なさそうですが、「誓約書」という書類の性質や敢えて「自署」としている様式などを踏まえると、自署が必要と考えられます。
その他の手続きなどの詳細については、経済産業省のホームページもご参照ください。
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
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