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法人が解散した場合の事業年度の取扱いや破産の場合の例外を税理士が解説

法人の経理においては、決算日、すなわち計算対象となる年度が重要になります。この年度を事業年度と言い、事業年度は法人の定款で定めることになります。税務上もこの定款で定めた年度を事業年度として法人税の計算を行う期間としています。

この事業年度の例外として、法人税においてはみなし事業年度という年度があります。これは、法人の定款で定めた事業年度ではないものの、事業年度とするのが適当であるため事業年度とみなして法人税の計算を行うこととした期間を言います。このみなし事業年度の代表例が、法人の解散です。

解散の場合の事業年度

法人が解散すると、解散の日で事業年度を区切り、事業年度の開始日から解散日までがみなし事業年度とされます。このため、法人が解散した場合には、解散日から二月以内に、このみなし事業年度について決算を行うとともに、法人税の申告が必要になります。

次に、解散をした後の年度ですが、これは株式会社などの会社の場合、定款で定めた年度に関係なく、原則として解散日から1年毎の期間が「清算事務年度」という新しい年度になります。このため、今後は解散日から1年毎の期間について法人の決算申告が必要になります。

破産の場合の例外

その一方で、この清算事務年度については、例外的な取扱いが設けられています。一つは、破産による解散の場合です。破産の場合、清算事務年度を認識しない、という取扱いとなっており、上記の取扱いは適用されません。

具体的には、破産による解散の事業年度は、原則として以下のように3つのフェーズに分けて、事業年度が設けられることとなります。

1 事業年度開始日~解散日まで
2 解散日~解散日の属する定款で定めた年度の決算日まで
3 それ以降は通常の定款で定めた事業年度

会社以外の例外

加えて、会社以外の法人については、清算事務年度が立たない場合があります。その具体例は、医療法人です。このため、医療法人についても、解散した場合は法人が破産した場合と同様になります。

なお、このような取扱いとなるのは、清算事務年度が会社法で定められた取扱いだからです。会社法は会社である法人について適用されますので、会社でない医療法人については適用されません。

法人ごとに解散した場合の年度が異なることになりますので、慎重に対応する必要があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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