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地積規模の大きな宅地の要件と評価について税理士が解説(後編)

前回紹介した、実務で問題になる地積規模の大きな宅地については、いろいろとその適用に当たり注意点があります。地積規模の大きな宅地については、この宅地に該当するか否かの判断が難しく、適用判断を誤る可能性が多くあります。加えて、計算方法についても、様々な注意点があるとともに、地積が大きいためちょっとした計算ミスが大きな評価額の誤りにつながりますから、細心の注意が必要です。

容積率の注意点

地積規模の大きな宅地には、容積率の要件があります。具体的には、「指定容積率が400%(東京都の特別区は300%)以上の地域」に所在する宅地は該当しないとされています。ここにある通り、容積率は「指定容積率」で判断することになります。

一般に言われる「容積率」とは、敷地面積に対する延床面積の割合を示す数値です。すなわち、土地にどの程度の建物を建てられるか、その基準を意味する訳ですが、この容積率には「指定容積率」と「基準容積率」の二つがあります。

指定容積率は、都市計画で用途地域毎に50%~1300%の範囲で定められている容積率を言います。一方で、基準容積率は前面道路の幅員が12m未満の場合に問題になる割合で、その前面道路の道路幅などに応じて計算される割合と、指定容積率のいずれか少ない割合をいいます。

建物を建てる場合に問題になる容積率は、原則として基準容積率になります。しかし、地積規模の大きな宅地の場合に問題になるのは指定容積率ですから、混同しないように注意が必要です。

計算方法の注意点

地積規模の大きな宅地については、その計算上、一般的な宅地に認められる、間口狭小補正率(道路に接する間口が狭い場合に認められる補正率)や、奥行長大補正率(奥行きが長い宅地である場合に認められる補正率)、そして不整形地補正率(土地の形が不整形である場合に認められる補正率)などの補正率も原則として認められることになっています。このため、これらの補正率についても、適用を忘れることのないように注意する必要があります。

とりわけ、この地積規模の大きな宅地については平成30年度改正で大きな改正があり、従来の取扱いではこのような補正率を使うことができませんでした。このため、経験がある人ほど間違いやすいと言えますので、注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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