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コロナ禍での申告期限の個別延長申請はどう変わったのか元国税が解説

未曽有の国難であるコロナ禍の影響で、最初の緊急事態宣言がなされた2020年中旬より、国税の申告期限について、個別延長が認められています。個別延長とは、災害などの特殊事情によって申告期限内の申告が難しい場合に、税務署長等に申請することで申告期限の延長が認められるとする制度です。

従来、この個別延長が認められることはほとんどなかったのですが、コロナ禍はまさに未曽有の国難ですので、ほぼ無条件でこの個別延長が認められています。

手続きも簡単だった

とりわけ、コロナ禍におけるこの個別延長については、簡易な様式で認められるという破格の取扱いが設けられていました。先に述べた通り、個別延長は申請書を提出して承認を受けて認められるものですが、申請書を作るにも手間がかかりますので、このような手間もいらないとされていたのです。

具体的には、申告書の余白にコロナの影響による個別延長、といった文言を記載すれば、申請書を出さなくても個別延長が認められ、申告期限が延長されるとされていたのです。

見直しがなされる

しかし、法律は申請書が必要とされていますので、簡易な様式は例外中の例外です。このため、この取扱いが見直されることとなり、今後は個別延長を認めてもらう場合、別途申請書を提出する必要があるとされました。

このように、今後は申請書を記載する必要がある訳ですが、この申請書には個別延長してもらうことを求める理由を記載しなければなりません。このため、コロナ禍で期限内の申告が難しい理由などを用意する必要があります。

特段の通知はないが

ところで、このような方針の変更があった場合、納税者に国税は通知しなければなりません。しかし、国税庁からこのような通知は全くありません。ただ、今まで認めていた簡易な手続きに関する国税庁のFAQを廃止しただけです。FAQは納税者サービスの一環で国税が掲載しているものですから、一般の納税者がその内容を見ることは多くありません。

結果として、知らぬ間に個別延長の取扱いが変わった、といった納税者も多くいると考えられます。今後はきちんと申請書を出す必要がある点、確実に押さえる必要があります。

なお、個別延長の申請書は申告書を提出できるようになってから出せば足りるとされています。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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