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生計一親族への経費は控除の対象?専従者給与とは?実例交えて解説!

税務上、解釈が問題になる用語の一つに「生計一親族」という用語があります。生計一とは、生活という経済活動を同一にする、といった意味があり、ごく簡単に申し上げると財布が一緒の家族のような親族を言います。なお、家族と言っても、例えば独り立ちした子供については、財布は一緒ではありませんので、生計一親族に当たりません。

生計一親族に対する必要経費の原則

この生計一親族は、扶養控除等の所得控除の問題でよく問題になりますが、それだけではなく事業所得などの必要経費について問題になります。というのも、生計一親族に経費を支払っても、それは本人の所得税の計算上は、必要経費として所得税の計算上控除することができず、逆にその生計一親族が本人の行う事業に係る経費を支払った場合、それは本人の所得税の必要経費として控除できる、という特殊な取扱いが設けられているからです。

先ほど、生計一親族とは財布が一緒の親族、という話をいたしましたが、財布が一緒なら生計一親族に支払った経費は必要経費として控除すべきではない、という考え方から、このような取扱いとなっています。

実際にあった事例

実際にあった事例として、弁護士の夫が、税理士である妻に自身の確定申告に係る税務顧問料を支払った事例があります。外部の税理士を雇って申告を依頼するとすれば、当然ながら所定の顧問料などがかかりますので、この弁護士も相当な報酬を妻に支払っていたのですが、その処理は国税から否認されています。

趣旨は別にして、現行制度では生計一親族に報酬等を払うことは認められませんから、注意してください。

専従者給与などの特例がある

とはいえ、家族経営の個人商店などは、家族が従業員として仕事をするため給料を出したいと思うものです。このような意向を踏まえ、青色申告をしている個人事業主には、事前に届け出た金額の内、適正額の範囲内のものについては、その事業に専従する、生計一親族である従業員に給与を支給できるという特例が設けられています(青色事業専従者給与)。ただし、給与として支払うことになりますから、支払う個人事業主においては、源泉徴収なども必要になります。

その他、青色申告以外の申告についても、一定の控除(専従者控除)が認められる場合もあります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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