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有価証券は消費税課税される?ゴルフ会員権は?個人事業主の場合は?

消費税には、政策的な目的などの理由により、敢えて消費税を課税すべきではないとされている非課税取引があります。典型例は社会保険診療で、保険診療については消費税が課税されません。その他、代表的なものとして有価証券の売買があります。このため、株式や公社債を譲渡しても、消費税は非課税とされています。

非課税取引の影響

非課税取引は消費税を課さない、というだけでなく、会社が行う消費税の計算に大きな影響を与えます。消費税は年度中に預かった売上に対する消費税から、仕入などの経費に対して課された消費税を控除して、その差額について納税する仕組みになっています。しかし、非課税取引に係る売上が大きければ、経費に対する消費税の控除が制限されるという仕組みになっています。

ただし、有価証券については、この仕組みについても特例があり、有価証券を売却した金額ではなく、その売却額の5%のみ、非課税売上としてカウントすることで足りるとされています。すなわち、非課税取引に係る売上が小さくなりますので、上記の制限の対象になることが少なくなるように措置されているのです。

ゴルフ会員権は特別

しかし、一見して有価証券に見えるものなのですが、通常通り消費税が課されるものとしてゴルフ会員権があります。ゴルフはぜいたく品、といった考え方があるからか、ゴルフ会員権の取引については消費税の対象になります。このため、ゴルフ会員権については、消費税の納税を忘れないようにしなければなりません。

個人事業主は特別

ところで、今までの解説は法人が有価証券やゴルフ会員権を取引した場合の取扱いです。法人以外の消費税の納税義務者、すなわち個人事業主については、上記とは異なる考え方をする場合がありますので注意が必要です。

個人の場合、株やゴルフ会員権を取引するとは言っても、それは趣味や自身の資産運用のためであることがほとんどで、事業として行うといったことは多くありません。消費税は事業として行った取引に対して課税されますので、このような趣味や資産運用目的の取引については、そもそも課税対象にならない(消費税の不課税取引)とされます。

結果として、個人事業主が有価証券やゴルフ会員権を取引しても、それを生業としているような場合を除き、その個人事業主の消費税の計算に影響させないことがほとんどです。

とりわけ、事業の接待目的でゴルフ会員権を購入しても、消費税の控除が認められない場合が多いため、注意が必要です。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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