HOME > 法律コラム > 消費税納税を逃れるために会社を精算・設立を繰り返すことは許されません!
消費税は売上が1千万円を超えなければかからない。
こんな話を聞いたことがある方も多いと思いますが、これは、消費税の納税義務が原則として二年前の売上が1千万円を超えるか否かで判断することとされていることによります。つまり、二年前の売上が1千万円以下であれば原則消費税はかかりません。
しかし、このように申し上げると、二年前はたくさん売上があったけど、今は業績が悪くなって1千万円もないから、二年前ではなく、今を見て消費税を免除してほしいと思う方が多いのではないでしょうか?
このような取扱いとなっているのは、消費税の経費が、請求書や領収書を保存しておかなければ、原則として一切認められないことが原因です。
法人税は万一請求書や領収書がなくても、その支払の事実が認められれば、経費として見て貰えますが、消費税はそうはなっていないのです。
このような厳格な取扱いがあるため、消費税の計算のためには、少なくとも消費税を納めるべき年度の初日の前日までに、きちんとした保存ができるよう、体制を整える必要があります。
売上で消費税の納税義務を判断するとした場合、計算する時間がかかりますから一年前の正確な売上金額は、その前年度中に計算することはできません。このため余裕をもって更に一年前、すなわち二年前の売上で消費税の納税義務を確認することとしているのです。
消費税の納税義務は余裕をもって判断できるわけですが、逆にこれを悪用しようとする人もいます。
例えば、二年後には消費税がかかるため、消費税がかかる二年後に会社を清算することとし、それ以後は別会社を設立して同じ事業を営む、というやり方が考えられます。
こうすると、その別会社は二年前の売上がないため、原則として消費税が免除されますから、同じことを繰り返して消費税を納めない、といった節税が考えられます。
実際のところ、新設法人には納税義務の判断についてその他の要件もありますので、このような節税が問題なくできる、というわけではありませんが、この要件は法律で明確にされていますので、抜け道を探すことは可能です。
しかし、このような安易な節税は許されません。消費税については、法律を超えたところでかなり強硬的な対応を税務署が行いますから、安易な消費税の節税は厳に慎むべきなのです。