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満員電車で酔った男性が寝たふり?をして寄りかかってくるけど、これって痴漢?!

金曜日の終電間際。乗客には酔った男性。車内は身動きが取れないほどの満員。

隣の女性に対して、頭だけでなく、体ごと寄りかかっている男性を見かけることが有ります。
酔っ払ってしっかり立てないのか、あるいは座っている状態であれば、眠ってしまって意識がないのか。

しかし女性としては見知らぬ男性に体を密着されることはとても不快ですよね。

さて今回は、これが痴漢になりえるかどうかについて、中島宏樹弁護士に話を聞いてみました。

寝ているのか寝ていないのかは不明ですが、かなり密着した状態は、 例えば胸等を触られていたなかったとしても痴漢になるのでしょうか?

いわゆる痴漢行為は、都道府県単位で制定されている条例によって処罰されています。

例えば、東京都の場合には、「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為・・・人公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること・・・をしてはならない」と規定されており、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が課せられます。

満員電車で、何度注意しても直らず、寄りかかられたことにより、股間を押し付けられるなど必要以上に密着した状態となっている場合には、たとえ胸等を触られていなかったとしても、痴漢行為に該当します。

相手が、目をつぶっていようが、目を開いていようが、犯罪の成立には関係がありません。
満員電車で、避けたくても避けられない状況を利用しての犯行であれば、極めて悪質な犯行と言えます。
被害者が声を上げることには困難が伴いますので、まわりの乗客にも毅然とした態度が求められるところです。

ただし、その人が酔っ払い状態であった場合には別の注意が必要です。
犯罪が成立するためには、行為者に、故意が認められること、すなわち、「罪を犯す意思」(刑法38条1項)があることが必要です。

酔っ払いの程度にもよりますが、いわゆる泥酔状態である場合には、罪を犯す意思が無いものとして、故意が認められず、犯罪は成立しません。

「さわらぬ神に祟りなし」と言いますが、他人に不快感を与えあらぬ誤解を受けないよう、お酒は節度をもってたしなみたいものです。

取材協力弁護士  中島宏樹 事務所HP
京都弁護士会所属。京都大学法学部を卒業後、2005年に旧司法試験に合格。その後、法テラス広島法律事務所の初代所長にも就任。現在は弁護士法人京阪藤和法律事務所 京都事務所に所属。相談者に寄り添うことを信条に、冷静と情熱の絶妙なバランスを心掛け、理想の解決に迅速対応します。

ライター おのりこ Twitter