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パン屋で売られている「アンパンマンのパン」これって著作権法侵害?どうして野放し?

パン屋さんでアンパンマンやドラえもんなどのアニメキャラクターのパンを見かけたことはありませんか?

当たり前の光景となっているため普段は気にならないかもしれませんが、著作権上の問題は大丈夫なのでしょうか。

多くが個人で営む街の小さなパン屋さんなので、きちんと許可を取っているようには見えないのですが本当のところはどうなのでしょう。

もしも著作権侵害となると、例えば販売目的ではなく、自宅で子供たちに作るだけでも問題があるのでしょうか?

今回はこの問題について濱悠吾弁護士に話を聞いてみました。

誰が見てもそのキャラクターとわかるようなパンを無許可で販売している場合、著作権法にふれないのでしょうか?

キャラクターの絵やイラストは、著作権法で保護される「著作物」に当たります。
そして絵の印刷や録画等、著作物を有形的に再製することは、「複製」として、著作権法上禁止されています。
パンの形状が、誰が見てもそのキャラクターとわかるようになっている場合には、パンの生地でそのキャラクターの絵やイラストを有形的に再製したといえますので、「複製」に該当し、著作権侵害行為となります。

著作権侵害にも関わらず販売を続けていられるのは、著作権者が寛容ということでしょうか?

著作権者は、法律上は、著作権侵害を行った者に対して、生じた損害の賠償と著作権侵害行為の中止を請求することができます。
また、著作権侵害には、「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金」という刑事上の罰則も定められていますが、著作権者による告訴がなければ罰を科されない親告罪とされています。 
そのため、著作権者がキャラクターパンの作製を容認する場合には、事実上パンを作ることによって問題は生じません。

著作権者側としては、キャラクターパンが販売されることによりキャラクターの宣伝効果が生じますし、個々のパン屋を訴えたとしても、それで得られる利益はわずかであるばかりか、逆にイメージダウンに繋がりかねません。
おそらくそのような理由から、キャラクターパンの販売を事実上黙認していると思われます。
しかし、キャラクターパンを大々的に販売して莫大な利益を得たり、著作権者が今後正式なキャラクターパンの販売を計画するような場合には、無断で販売した者に対して何らかの措置を講ずることもあるかもしれません。

販売目的ではなく、家族だけで楽しんだり、知人や友人にプレゼントするだけであれば大丈夫でしょうか?

著作物の複製は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において私用することを目的とするときは」、適法な行為として認められています。
これは、限定的な範囲ならば著作権者の経済的利益を大きく害することがないことや、家庭内の行為について規制することは現実的に困難であること、などの理由によるものです。
そのため設問の場合のように、家族だけで楽しんだり、知人や友人にプレゼントするだけの目的であれば大丈夫といえます。

取材協力弁護士  濱 悠吾 優和綜合法律事務所
東京弁護士会所属。早稲田大学法学部卒業。中央大学大学院法務研究科修了。某動画共有サイトを運営する企業の法務部でインターネット上の権利侵害対応業務、知的財産業務を担当。