HOME > 法律コラム > 「起業して一攫千金!」の裏に隠された、絶対に知っておくべき自社株問題
経営者であれば、誰しも会社の業績を上げたい、と思うものですが、業績が上がれば上がるほど、大きなリスクとなるのが「自社株」と言われるものです。これは、文字通り自分の経営する会社の株式を言います。
上場企業の株価を考えていただければ分かる通り、株価と会社の業績は連動する傾向があります。このため、自社の業績が上がれば上がるほど、自社株の価値も上がるわけです。
中小企業の場合、経営者と株主が同一人物であることがほとんどです。このため、経営者は自社株という財産を持っており、財産であれば相続税や贈与税、そして譲渡所得税が課税されることになります。
これらの税金は、自社株の価値が大きければ大きいほど高くなりますので、節税を考えるのであれば、自社株の価値は小さい方がいいわけです。しかし、経営者としては会社の業績を上げるために邁進することになり、結果として、経営者が「気づかぬうちに」自社株の価値が大きくなっていることが通例です。
となれば、相続により会社を引き継ぐ際、相続税がかかる自社株の価値は膨大になっている話になります。この膨大な価値は、そのまま相続税として、相続人にのしかかることになります。
つまり、気づかないうちにリスクが大きくなり、気づいた時にはどうしようもなくなることが多いため、「自社株は爆弾」などと言われています。
困ったことに、いつかは後継者に自社株を渡す日、つまり自社株に対する税金と向き合う日がだれにも来るのです。
爆弾は導火線に火がつくために大惨事になるわけで、火が付く前に消せば爆発は起こりません。火が付く前、すなわち相続や贈与、そして自社株を譲渡する前に余裕を持って自社株の対策をすれば、大きな負担にはならないのです。
このため、早いうちから税理士などの専門家に相談することが大切です。実際のところ、本当に問題意識の高い経営者の方は、自社株の価値が大きくなる前に、持っている全部の自社株を後継者に贈与する、といった対策を取られ、爆発を未然に防いでいます。