HOME > 法律コラム > 株式会社の税務とは違う「一般社団法人」は節税対策として欧米でも非常に注目されています!
一般社団法人という法人をご存知でしょうか。この法人は、公益法人的な法人で、平成20年10月1日以後に認められたものです。
従来、社団法人などの公益法人は、お役所の許可がなければ設立できませんでした。こうなると、なかなか公益法人を作れず、日本にとって必要な公益活動が阻害される、という問題点があります。この問題点を解決するために、登記だけで設立できる法人として、一般社団法人が認められました。
ただし、登記だけで公益法人を作れるとなると、公益法人を隠れ蓑とする、といった悪質な事態も想定されますので、真の公益法人となるためには、一般社団法人の事業内容等について、お役所の認定が必要とされています。なお、認定を受けた一般社団法人を公益社団法人といい、こうなると純然たる公益法人となります。
税金の世界では、公益法人となるといろいろな特例が認められています。このため、公益社団法人は原則、公益法人として特例を受けることが可能です。しかし、そうではない一般社団法人に公益法人的な特典を与えるのは必ずしも妥当ではありません。
この点を踏まえ、一般社団法人は、所定の要件を満たす場合を除き、原則として株式会社と同じように課税する、とされています。
一般社団法人を作っても、株式会社と同じように税金がかかるのであれば意味がない、と考えるのは実は早計で、現在、この一般社団法人が節税ツールとして大きな注目を集めています。というのも、一般社団法人の場合、株式が存在しないからです。
株式が存在しない、ということは、前回述べた自社株も存在しない、ということを意味します。となれば、一般社団法人でいくらお金を儲けたところで、自社株の価値が上がり、自社株に対する税金も高くなる、という事態が存在しないことになります。
都合がいいことに、一般社団法人を作ったからといって、必ずしも公益法人的な業務を行わなければならないわけではありません。経営上の制限があるとすれば、株式がないため配当もできない、といったことですが、多くの中小企業は配当することがありませんし、法人から利益を得たければ自分の役員報酬を大きくすればいいだけです。
一般社団法人の設立を検討することも、今後の節税対策には必要になるでしょう。実際のところ、欧米諸国では、一般社団法人に類似した法人が広く節税に活用されているといわれています。
もちろん、正確な知識がなければ思わぬしっぺ返しを受ける、という事態もありますので、専門家と相談の上活用することとしてください。