HOME > 法律コラム > パーティに招待した時のタクシー代は旅費交通費か交際費のどちらか分かりますか?
ビジネスを行う上で、必要不可欠な費用の一つに交際費があります。取引相手先との関係を円滑にするために、どの企業も交際費を支出せざるを得ない場合があると思いますが、交際費に対し、税法は非常に厳しいです。
中小企業であれば一定金額を超える交際費が、大企業であれば交際費の全額が、原則として経費にならないとされています。このため、節税を考える上で交際費の取扱いは非常に重要です。
取引先からパーティーに招待され、会費を払うといった場合、その会費は取引先の接待の一環でもありますので、原則として交際費に該当します。この場合、そのパーティー会場までに要するタクシー代は、旅費交通費とされています。
その一方で、自社主催のパーティーに取引先を招待する場合、パーティー会場までのタクシー代を自社が負担するとすれば、そのタクシー代は、旅費交通費ではなく、交際費に該当する、とされています。
同じパーティー会場までに要するタクシー代ですが、このようにパーティーを自社が主催するか否かで取扱いが変わるのです。
このような相違が生ずる理由は、交際費の意義を考えるとよくわかります。
税法上、交際費とは(1)取引先などの事業関係者に対し、(2)今後の事業活動の円滑化などを目的として、(3)接待、交際、慰安、贈答などの行為を行うために支出した費用をいう、とされています。
先のタクシー代を見ると、他社主催のパーティーに参加して会費を負担することは、(1)〜(3)の要件を満たしますが、そのために支出するタクシー代は、他社を接待するために支出するものではなく、移動のために支出する費用ですから、交際費にはならないのです。
一方で、自社主催のパーティーに取引先を参加させるために要するタクシー代は、パーティーの一環、すなわち接待等の行為を行うために支出する費用ですから、交際費とされるわけです。
このように、交際費に該当するかどうかは、先の(1)〜(3)のすべての要件に該当する費用かどうかで判断することになります。常識としては交際費とは言えないようなものも、これらすべての要件に該当するとなれば、交際費になると指導される可能性があります。
このあたり、とりわけ交際費の全額が原則として経費とならないとされる大企業の税務調査では非常に細かくチェックされる傾向があります。