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「外食の食べ残しをタッパで持ち帰る」→「食中毒」さて治療費請求は可能?!

食べ残しや食品廃棄の減少を目的として、農水省がほぼ毎年実施している外食産業における食品ロス調査。
2009年度の「食堂・レストラン」の食べ残しは全体の3.2%を占めています。これは時系列で比較すると2000年の3.6%からほぼ横ばいです。
ちなみに最もロスが多いのは「結婚披露宴」の19.6%、次いで「宴会」14%でした。

外食に出掛け、食べ残しをもったいないと思い、持ち帰ったことがある方や、あるいは持ち帰りたいと考えたことがある方は決して少なくないのではないでしょうか?
今回は食べ残しを持ち帰り、その結果食中毒になった場合、その飲食店に治療費を請求できるかどうか清水陽平弁護士に聞いてみました。

持ち帰った食べ残しをその日のうちに食べたのですが食中毒にかかりました。治療費等は請求可能ですか?

そもそも、外食時に提供される料理は、当該店舗内ですぐに食べられることを前提として提供されています。そして、お持ち帰りをすることは、飲食店側の厚意によるものにすぎず、その後は基本的に自己責任です。また、一旦店を出てしまえば、食品の保管状況(保管温度、異物混入のない状況の確保等)を飲食店側が管理することはできなくなってしまいます。

そのため、お持ち帰りをした飲食物が原因で食中毒になった場合、基本的に店舗側は責任を負いません。
もっとも、食中毒の原因となった細菌やウィルスが、外食店舗での食品提供時にすでに存在していたことが立証できれば、請求は可能です。とはいえ、「その日のうちに食べた」としても、店舗を出た後食べるまでの間に食中毒の原因が生じていた可能性はぬぐいきれないため、この立証は困難です。

さらに、本件では「飲食店舗から持ち帰って食べた物が原因で食中毒になった場合」が前提とされていますが、生活の中では他にも様々な食べ物を口にしているため、実際にはこの部分の立証も非常に困難です。このように、お持ち帰りしたものが原因で食中毒になった場合に治療費等の請求をすることは、他にお店で食べた人も同じ症状を多数訴えいるということがなければ、実務上は難しいと思います。

取材協力弁護士  清水陽平 事務所HP
東京弁護士会所属。法律事務所アルシエン共同代表パートナー。ネット上での誹謗中傷対策や炎上対策として、日本人では初となるTwitterやFacebookへの削除・開示の実績あり。その他に損害賠償、刑事告訴など幅広い案件に対応。また数々のメディアへも掲載多数。

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