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過去最低だった税務調査件数。安心するにはまだ早い?!減少理由と今後の見通しを専門家が解説!

2014年6月迄の1年間に、法人税の税務調査をした法人数が、記録の残っている昭和42事務年度以降で最低となったと国税庁のまとめで分かりました。

このニュースを見ると、税務調査されるリスクが少なくなり安心、と思う方も多いと思いますが、その逆に税務調査リスクは大きくなっている、と考えられるのです。

どうして減ったの?

調査件数が減った一番大きな理由は、税務調査を実施する上での税務署の手続き的な手間が平成25年からスタートした税制改正で非常に大きくなったからです。このことは、一件当たりの税務調査につき、相当の手間をかけて税務調査を行わなければならない、ということも意味しています。

一件当たりに手間がかかるということになれば、税務調査対象者としてピックアップされると、より深く税務調査がなされることにもなるでしょう。となれば、従来は認められていたあまい経理処理についても、厳しいチェックがなされる可能性を指摘できます。

今後の国税庁の動向は?

その他、税務調査の件数が減ったことにつき、当の国税庁も指を加えて傍観しているわけではありません。手続き的な手間が増えて、税務調査件数を増やせないのであれば、悪質な脱税行為を行っているなど、税務調査をしなければならない会社をより正確にピックアップして対応しようとしています。

実際のところ、近年は私たち税理士が、今まで目にしたことのないお尋ねの文書が、多数税務署から送られるようになりました。税務調査を実施する、となると大変な手間がかかりますが。お尋ねの文書を送るだけであれば、手間はかかりませんので。できるだけ多数の納税者にお尋ねの文書を送り、その回答内容を検討することで。回答に疑問が残る納税者などを税務調査対象者としようとしていると考えられます。いわば、より効果的に税務調査先をピックアップしようとしているのです。

となれば、税務調査する会社が減っているから脱税行為が見つかりにくい、という考えは間違いであり、むしろ脱税行為をする会社を目立たせて、そのような会社に優先的に税務調査が実施される、というのが正しい理解と考えられます。

より適正な事業運営が求められます!

一般の方に税はあまり馴染みがないからか、法律的には誤っているにもかかわらず、甘い言葉で節税(正確には脱税ですが)をうたう業者やホームページも見られます。

このような甘い言葉に騙されないよう、信頼できる専門家に相談するなどして、慎重な判断を行う必要があります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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