HOME > 法律コラム > 女性専用車両に乗り込んだ男性に対して絶叫する女性。女性専用車両に法的効力はあるの?
日本における女性専用車両は1912年に導入されたのが最初とされています。その後2000年に一気に拡がりをみせ、現在では電車にかぎらず、バスやタクシーなどにも設定されています。
導入の理由は主に痴漢や性犯罪、暴力から女性を保護するものですが、その効果が合ったかどうかの明確な結果はでていないようです。
動画投稿サイトでは度々、女性専用車両に乗り込んだ男性と女性の口論がアップロードされていますが、今回はそもそも女性専用車両に法的効力があるかどうか、鈴木弁護士に話を聞いてみました。
国土交通省は、女性専用車両とは女性等に配慮した車両であり、「利用者の理解と協力のもと」導入している車両という説明をしています。男性の乗車を禁止する法的根拠があるわけではなく、多くは痴漢等の迷惑行為の防止を目的として設置されています。
女性専用車両に類似した用語が確認できる法律としては、鉄道営業法があげられます。鉄道営業法では、「婦人ノ為ニ設ケタル…車室」に男性が制止を振り切ってまで立ち入ることを禁止しています(鉄道営業法34条)。しかし、この法律は明治に制定された法律であり、このような定めが設けられたことにも歴史的背景を感じさせます。近年の女性専用車両とは、時代も趣旨も異なっており、国土交通省の説明から判断しても、現在の女性専用車両が鉄道営業法にいう「婦人ノ為ニ設ケタル…車室」には該当しないことは明らかでしょう。
しかし、女性専用車両にこのようなルーツがあるとすれば興味深い話です。