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税理士が立会いできないため十分な交渉を行えない印紙税調査の実態とは?

三井住友銀行やダイエーなど、名だたる優良企業が、国税から巨額の印紙税の課税もれを指摘されるというニュースが近年新聞紙面を賑わせています。これらの企業でも間違いが大きい、と言えるのが印紙税ですが、それ以上に、印紙税調査に対する十分な対応が取れないことが、この巨額な印紙税の課税もれにつながっています。

税理士が立ち会うことが出来ない

印紙税調査は法人税や消費税の税務調査とは異なり、税理士が立ち会うことはできません。これは、印紙税は税金であっても、税理士業務の対象となる税金にはならないとされているからです。

税理士という専門家のサポートが受けられないのが印紙税の調査であり、となれば税務署と十分な交渉などそもそもできるわけがありません。このため、税務署の独壇場となるのが印紙税調査なのです。

税理士が立会えたとしても実は頼りない

このため、印紙税調査に対する鉄則は、調査官にその場で回答せず、調査官のいないところで税理士に相談し、十分に回答をまとめてから回答することです。こうすれば、失言を防げますし、税務署の指導が正しいか、十分に吟味することができます。

しかし、困ったことに税理士は基本的に印紙税を知りません。税理士業務の対象外なのですから、試験にも出なければ勉強もしていないからです。このため、印紙税の相談をしたからといって、十分な対応を図ることが難しいといった側面もあります。

印紙税は経験のあるOB税理士と相談

このため、印紙税の調査に対しては、税務署で印紙税を担当していたOB税理士に相談するのがいいでしょう。印紙税調査の裏側にも詳しいですから、印紙税の法律だけでなく、調査官の弱みを突いて交渉する術も熟知しています。

ただし、OB税理士であっても、印紙税には詳しくない方が多いです。印紙税はレアな税金でもありますから、税務署の中でもごく限られた人間しか勉強していないからです。

このため、印紙税を現職時代担当していたか、十分に検討しなければなりません。困ったことに、大した知識もないくせに、税務署にいたという経験だけを打ち出して、印紙税のプロであるかのような見せ方をしているOB税理士もいますので、慎重な対応が必要になります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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