HOME > 法律コラム > 2018年から海外の預金口座情報も国税庁に自動的に連絡!海外投資には要注意!
先般、閣議決定された平成27年度税制改正大綱によると、2018年から非居住者口座についての自動的情報交換がスタートする旨が定められています。
自動的情報交換とは、諸外国との租税条約に基づく情報の提供をいい、この制度によって、例えば外国に預金を持っていらっしゃる方の預金情報が、日本の国税庁に自動的に連絡されることになります。
現在、日本は所謂タックス・ヘイブン国とも租税協定を結んでいます。
このため、従来安全(?)と言われていたケイマン諸島や英領バージン諸島に日本人が預金を設けていても、その情報は自動的に日本の国税庁に連絡されることになるのです。となれば、海外に財産を移転すれば何とかなる、などと甘い言葉はもはや通用しないと言え、相続税はもちろん、海外口座に入金される利子や配当の所得税の申告もれも適宜把握されることになります。
このように、国外に財産を逃がせば何とかなる、といった時代はすでに終わったと言っても過言ではないのですが、未だに甘い言葉で海外の預金口座などを活用して、節税(正確には、脱税)しようと薦める輩が多いことも事実です。
香港のジョイント口座はその代表例です。日本と異なり、香港は共有名義の預金が認められています。この口座について、「夫婦2人の共同名義で口座を開けば、夫が死亡しても妻に対して相続税は発生しない」などといい、後日相続が発生した段階で、妻がジョイント口座の申告をしなかったために、税務署の税務調査で痛い目にあう、といった話が昨年大きな問題になりました。
このような甘い言葉に騙されないよう、注意したいところです。
その他、中には海外投資を積極的に進める税理士もいます。税の専門家ということで、一般の方は信用してしまうのでしょうが、海外の税法は非常に複雑であるところ、「日本での申告が必要ですが、それは皆様の責任でしっかりとやって下さい。」と、海外投資をさせて大きな手数料収入を得ながら、安易な指導をするケースが非常に多いと耳にしています。
この点、税務署に相談しても、海外の税法がよく分からないため、正しい回答を得ることが非常に困難であると耳にしています。
海外投資はリスクが高く、かつ専門家も当てにならないことも多いですから、慎重な対応に心がけたいところです。