HOME > 法律コラム > 還付されやすい消費税ですが、申告するだけで税務調査のリスクは倍増!
法人税と異なる消費税の特色として、還付申告になりやすいというポイントがあります。
消費税は、設備投資を行ったり、はたまた消費税が優遇されると言われる輸出取引を行ったりする場合、往々にして還付申告となります。このような場合、支払った消費税が売上に対する消費税よりも大きくなることがあるため、その売上に対する消費税を超える部分の消費税が還付されることになります。
この、還付申告になりやすいという消費税の特色を逆手にとり、ありもしない輸出取引を不正に擬制して還付申告する、といった事態が問題になったことがあります。
このような不正の還付を防止するため、還付申告を行う場合には特別な明細書の添付が義務付けられるとともに、税務署においては、還付金を支払う前に、原則として消費税の還付申告については全件チェックを入れます。
具体的にどのようなチェックをかけるかと言えば、還付申告を行った納税者に連絡をとり、還付の原因となった事由の裏付資料の提出を求めて検討する、という書面上のチェックが中心です。
仮に、「建物を建てたため、消費税を過大に支払った」という理由で還付申告となったのであれば、建物を実際に建てているかをチェックする必要がありますので、その裏付けとなる業者との契約書や登記簿謄本の提出が求められます。加えて、不正を防止するという観点からは、実際にお金が動いているかも確認しなければなりませんので、振込依頼書や領収書など、いわゆる決済資料の提出も求められることがあります。
この書面上のチェックで疑問が生じた場合や、計算ミスのため多額の税金を追徴できると見込まれる還付申告を提出した場合などは、ペナルティーを課すことができる税務調査に切り替えます。こうなると、ペナルティーはもちろん、時間的にも精神的にも大きな拘束を受けることになります。
このように、還付申告を行うと税務署から何らかの連絡がありますから、還付理由の裏付資料を整備しておくなど、相当の準備をしておく必要があります。その他、近年の傾向として、所定の金額を超えるような還付申告を行えば、それだけで税務調査が実施される、という話も耳にしています。
還付申告の提出は、後日を見据えて用意周到に行ってください。